2017年ツール・ド・フランス終盤戦!第16~21ステージの結果と感想

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最終更新日: 2017.07.25

2017年ツール・ド・フランス終盤戦!第16~21ステージの結果と感想

2017年ツール・ド・フランスが終わってしまいましたね。ちょっと寂しい気もしますが、寝不足は解消されそうです(笑 今回は、16ステージから21ステージまでの展開と結果を簡単にまとめました。最後には、全てを見終わった個人的感想も書きます。

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16~21ステージ結果

各ステージのコースプロフィールとレース展開、結果を紹介します。どのステージも白熱した戦いが繰り広げられました。

第16ステージ

スタートからいきなり登りがあるコースですね。後半は細かいアップダウンがあるものの平坦基調で、登坂もできるスプリンターかパンチャー向けのコース設定となっています。

2017年ツール・ド・フランス 第16ステージのコースプロフィール

16ステージはポイント賞1位のマルセル・キッテル(クイックステップ)と2位のマイケル・マシューズ(チームサンウェブ)の争いが注目されました。しかし、生粋のスプリンターであるキッテルは最初の3級峠で大きく遅れてしまいます。対してマシューズは上れるスプリンターの才能をいかんなく発揮し、途中にあるスプリントポイントを獲得。キッテルとのポイント差を縮めます。

後半では選手たちを強い風が苦しめました。ゴールまで残り15.5km地点でメイン集団は分断され、風による落車もいくつか発生しますが、特に大きな事故にはなりませんでした。

最後の局面ではダニエーレ・ベンナーティ(モビスター)が逃げる場面もありましたが、ゴール前600mで吸収され、集団で最後のスプリントへ。マシューズとジョン・デゲンコルプ(トレック)、エドワルド・ボアッソンハーゲン(チームディメンションデータ)できわどい勝負となりましたが、写真判定でマシューズが勝利しました!

ステージ優勝したマシューズは、中間スプリントと合わせて50ポイントを荒稼ぎ。ポイント賞1位のキッテルとの差を29ポイントまで一気に縮めました。

2017年ツール・ド・フランス 第10テージ優勝のマイケル・マシューズ

第17ステージ

超級山岳2つを含む4つの厳しい峠を越える難コースです。総合優勝を争う選手にとっては残り少ない逆転のチャンスステージでした。

2017年ツール・ド・フランス 第17ステージのコースプロフィール

スタートして何回かアタックがかかりましたがなかなか決まりません。そしてスタートから20km地点で落車が発生してしまいます。巻き込まれた選手には山岳賞のワレン・バルギル(チームサンウェブ)と、ポイント賞のキッテルが含まれていました。しかし、2選手ともすぐにレースに復帰します。

落車事故が発生した直後に、集団から33人の選手がアタックし逃げに成功します。この逃げにはマシューズ、プリモシュ・ログリッチ(ロットNL)、トマス・デヘント(ロット・スーダル)、バウケ・モレマ(トレック)が加わっていました。さらにマシューズとデヘントが、2級の下りで逃げ集団から抜け出します。マシューズはそのまま47.5km地点の中間スプリントをトップで通過し、20ポイントを加えてポイント賞1位のキッテルとの差をわずか9ポイントまで縮めました。

メイン集団からは1番目の超級山岳でアルベルト・コンタドール(トレック)がアタックで抜け出し、先頭集団に合流します。この頃、ポイント賞1位のキッテルが落車の影響でリタイヤという情報が・・・。これでまた一つ楽しみが減ってしまいました(泣

レースは進んで最後の峠、残り6kmあたりで5人まで減った先頭集団からログリッチが単独で抜け出すと、それに付いていける選手はいませんでした。ログリッチはそのままステージ初優勝を飾りました。

総合争いでは上位陣からファビオ・アル(アスタナ)が30秒遅れてゴールし、2位から4位に順位を落としています。他は同タイムでゴールし大きな動きはありませんでした。また一歩クリス・フルーム(チームスカイ)が総合優勝に近づきましたね。そしてポイント賞はマシューズ、山岳賞はバルギルにほぼ確定となりました。

2017年ツール・ド・フランス 第10テージ優勝のプリモシュ・ログリッチ

第18ステージ

最後は超級の山頂ゴールとなっており、総合を狙う選手には最後のチャンスとなるコース設定でした。

2017年ツール・ド・フランス 第18ステージのコースプロフィール

総合優勝を争う選手にとって勝負の18ステージでしたが、ステージ優勝を狙うクライマーにとっても最後の勝負となりました。その意気込みが感じられたのはスタートから9km地点。4人の逃げを50人もの選手がメイン集団から分裂して追走し、吸収してしまいます。ここから54人の先頭集団が作られました。フルームを含むメイン集団はその後を約5分遅れて追走します。

そして、1級山岳が終わり最後の超級を上り始めるころには逃げは10人まで絞られ最後の決戦へ突入します。激しいデッドヒートが繰り返された末に残り6km地点、単独で先頭に生き残ったのは ダーウィン・アタプマ(UAE・チームエミレーツ)でした。

このステージはアタプマでこのままいくのか?と思った矢先、2分後ろから山岳賞のバルギルが単独アタックを開始します。バルギルの猛追は驚異的で、たった1kmで約40秒アタプマとのタイム差を縮めてしまいます。ゴールまで残り5km地点で、アタプマとのタイム差は1分17秒となっていました。

バルギルは残り1.5km地点でアタプマをかわすとそのままゴール!山岳賞に花を添えるステージ優勝となりました。強い!総合でも9位にジャンプアップしています。

総合争いでは残り3km地点からフルーム、バルデ、ウランのトップ3がアタック合戦を繰り返しますが、決定的な差は開かずほぼ同時にゴールしました。フルームはガッチリと首位をキープします。

2017年ツール・ド・フランス 第10テージ優勝のワレン・バルギル

第19ステージ

細かいアップダウンが激しく、逃げを得意としている選手には最後のチャンスとなるステージでした。

2017年ツール・ド・フランス 第19ステージのコースプロフィール

スタート開始直後から、予想通りステージ優勝目指して逃げたい選手による激しいアタック合戦が繰り広げられました。そして35km地点まで逃げは決まらずかなり難しい展開となりましたが、そこから約20人の選手が集団から抜け出してやっと逃げが決まります。

その後、逃げ集団とメイン集団のタイム差は最大8分以上広がり、ステージ優勝は脱げ集団から決まる可能性が高まります。それを意識してか、逃げ集団からさらに何度かアタックがかかりましたが全て潰されてしまいます。激しい・・。

逃げ集団からレースが動いたのはゴールまで19km地点。イェンス・クークレール(オリカ・スコット)がアタックしたのをきっかけに9名の選手が抜け出します。残り10kmを切るとさらに9名の争いが激しくなります。しかし、誰も抜け出せないまま運命を決める3km地点を通過します。

ここでわずかなスキを突き、エドワルド・ボアッソンハーゲン(チームディメンションデータ)とニキアス・アルント(チームサンウェブ)の2名がわずかにリードを奪い、そこからボアッソンハーゲンが一気にラストスパート!最後はリードを保ちながらステージ優勝をものにしました。

ボアッソンハーゲンは第7ステージと第16ステージ共に写真判定で負けて悔しい思いをしたので、本当に嬉しそうでしたね!総合勢は大きな動きはなかったです。

2017年ツール・ド・フランス 第10テージ優勝のエドワルド・ボアッソンハーゲン

第20ステージ

総合優勝を決める22.5kmのTTコースです。途中に一か所116mを一瞬で駆け上がる丘があります。

2017年ツール・ド・フランス 第20ステージのコースプロフィール

総合争いではTTを得意としているフルームが3位に入り、総合優勝をほぼ確定させました。3位のウランも盤石な走りでしたが2位のバルデが大ブレーキ。1分57秒もフルームに遅れてしまい、ウランと入れ替わりで3位に転落してしまいました。

ステージ優勝したのはマチェイ・ボドナル(ボーラ・ハンスグローエ)でした。自分は大好きなトニー・マルティン(カチューシャ)を応援していたのですが残念ながら4位・・。TTは新しい選手の時代に移っていくようです。

2017年ツール・ド・フランス 第10テージ優勝のマチェイ・ボドナル

第21ステージ

毎年恒例の凱旋門をバックに走るコースですね。シャンゼリゼの石畳も美しいです。

2017年ツール・ド・フランス 第21ステージのコースプロフィール

レースは毎年恒例の流れで進みます。まずはサイクリングのようなペースで総合優勝のフルーム、山岳賞のバルギル、ポイント賞のマシューズ、新人賞のサイモン・イエーツ(オリカ・スコット)を先頭に華やかなパレードが続きます。

そのまままったりとレースは進み、最後の最後でガチのスプリント勝負が開始。名だたるピュアスプリンターを抑えて勝ったのはディラン・フルーネウェーヘン(ロットNL)でした。フルーネウェーヘンは嬉しいツール初勝利です。

2017年ツール・ド・フランス 第10テージ優勝の ディラン・フルーネウェーヘン

途中、チームの垣根を越えてコロンビア人選手が集まる場面もありました(笑 こうしてみると近年のコロンビアは強い選手を何人も輩出しているのが分かりますね。コロンビア旋風はまだまだ自転車界を席巻しそうです。

2017ツール・ド・フランス 21ステージでコロンビアの選手が集結

最終結果

【個人総合最終成績(マイヨ・ジョーヌ)】

  1. クリストファー・フルーム(チームスカイ)
  2. リゴベルト・ウラン(キャノンデール)+54秒
  3. ロマン・バルデ(AG2R)+2分20秒
  4. ミケル・ランダ(チームスカイ)+2分21秒
  5. ファビオ・アルー(アスタナ)+3分05秒
  6. ダニエル・マーティン(クイックステップ)+4分42秒
  7. サイモン・イエーツ(オリカ・スコット)+6分14秒
  8. ルイ・メインティス(UAE)+8分20秒
  9. アルベルト・コンタドール(トレック)+8分49秒
  10. ワレン・バルギル(チームサンウェブ)+9分25秒
  11. ナイロ・キンタナ(モビスター)+15分28秒

【各賞】

  • ポイント賞(マイヨ・ベール):マイケル・マシューズ(チームサンウェブ)
  • 山岳賞(マイヨ・アポワ):ワレン・バルギル(チームサンウェブ)
  • 新人賞(マイヨ・ブラン):サイモン・イエーツ(オリカ・スコット)
  • チーム成績:チームスカイ(英国)
  • スーパー敢闘賞:ワレン・バルギル(チームサンウェブ)

2017年ツール・ド・フランス 総合優勝:クリスフルーム 山岳賞:ワレン・バルギル ポイント賞:マイケル・マシューズ 新人賞:サイモン・イエーツ

個人的な感想

個人的にはちょっと期待外れ感がいなめないツール・ド・フランスでした。原因は王者クリス・フルームを本気で脅かす選手がおらず、総合争いがイマイチ盛り上がらなかった事。そして、ペーター・サガン、マーク・カヴェンディッシュ、アレハンドロ・バルベルデ、リッチー・ポート、ラファル・マイカなどの有力選手が序盤でリタイアしてしまった事ですね。

しかし、ファビオ・アルやロマン・バルデなど面白い若手が順調に強くなっている感じがしたので、来年こそは白熱した展開を期待します。次は8月のブエルタ・ア・エスパーニャを楽しみに明日から頑張ります(笑

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