ホイール交換の効果

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最終更新日: 2024.01.12

ホイール交換の効果と選び方|ロードバイク・グラベル・自転車

ロードバイクのグレードアップを考える時に、スピードの向上効果が出やすいのは「ホイール交換」と聞いたことないでしょうか。そこで、スポーツ自転車のホイール交換の効果と、ホイールを選ぶ際に注目すべきポイントをまとめます。グレードアップの参考にどうぞ!

カスタムでホイール交換が最も効果がある?

結論から言えば、ロードバイクのパーツ交換で最もスピードアップ効果を体感できるのはホイールです。人によりますが前後ペアで200~300gも軽くなれば体感で違いがわかるんじゃないでしょうか。

例えばフレームに500mlペットボトル(500g)をくくり付けて走っても違いはなかなかわかりません。しかし、500mlのペットボトルをホイールにえいや!とくっ付けて走ると、ペダルがぐっと重くなるイメージが出来ますよね。ホイールは軽ければ漕ぎだしと加速に必要なエネルギーが減りますし、スピードを維持するのも軽い方が楽になります。ホイールは人力で回転させるパーツなので、数百グラムの軽量化でも効果が非常に大きいのです。

人力で動かすタイヤとチューブはメーカーやモデルによってあまり大きな重量差がありませんが、ホイールはグレードによって重量差が大きく効果が出やすいです。特に10万円台のロードバイクやグラベルロードには鉄下駄ともいわれる前後ペアで2,000gくらいのホイールが装備されていることが多いです。これをミドルグレードの1,600gくらいのホイールに交換することで大きな違いを体感できます。

ホイールの性能を見極めるポイント

ではホイールは軽けりゃ軽いほどいいのか?っていうと、そう単純ではありません。ホイールのどの部分が軽いのかが重要になってきますし、スポークの空気抵抗やハブのベアリング性能も走りに関係してきます。

まずホイールは大きく分けてハブ、スポーク、リムで構成されてます。リムはホイールの外側にある円のパーツ、スポークは内側から外側に放射状に延びたパーツ、ハブはホイール中心にある回転するパーツです。

ホイールのリム、スポーク、ハブ

リムの重量が重要

ホイールは全体の重量よりリムの重量が大事です。総重量は全く同じだけど、リムが軽いホイールとリムが重いホイールを同時に転がした場合、リムが軽いホイールの方が2倍程度の速さで転がります。つまり、同じ総重量のホイールだとリムが軽い方が漕ぎ出しが軽くなるのです。特にヒルクライムや漕ぎ出しでスピードを上げる時にはリムが軽いホールは威力を発揮します。

リムが重いホイールにもメリットがあります。一度スピードに乗ってしまえば慣性である程度回ってくれるので高速走行での速度維持が楽になります。特に坂の下りではどんどん回ってくれるのでスピードが出やすいです。ホイールを購入する時には総重量だけではなくリムの重量にも注目してみてはどうでしょうか。軽いリムのホイールが欲しいなら高価になりますがカーボン製を選ぶといいでしょう。

ロードバイクホイールのリム重量の違い

スポークの空気抵抗

次にスポークの空気抵抗です。ホイールが回転する時にはスポーク1本1本が回転方向に空気抵抗を受けています。スポーク本数が少なく、短くて細い方が抵抗が小さくなるので小さなパワーで良く回るようになります。

また、スポークの外側の方が内側よりも速く回転しているので抵抗が大きいです。リムハイトが高いディープホイールにすることで外側のスポークを無くし空気抵抗を抑えて高速走行が楽になります。

ロードホイールの空気抵抗

関連記事:ディープホイールの空気抵抗

ハブのベアリング性能

ハブにはホイールを回すためのベアリング(小さなボール)が入っています。ベアリングが滑らかに回転することでホイールを回していますが、材質の違いや精度で回転の軽さが違ってきます。通常はスチール(鉄)のベアリング使われていますが、レース用の高価なホイールにはセラミックが使われている物もあります。

ただ、ベアリング性能については微々たる差で高性能になればメンテナンスが必要になるので、そこまでこだわらなくてもいいと思います。

ホイールのハブとベアリング

ホイールを購入する時の規格確認と注意点

ホイールには様々な規格があるので、自分のスポーツバイクに装着できるのか確認してから購入しましょう。間違った規格を購入してしまうと取り付けできませんので注意!

フリーの規格をチェック

ロードバイクホイールのフリー

フリーとは後輪のスプロケット(ギア歯)を取り付ける部分です。ホイールと一体となっています。取り付けるスプロケットのメーカーによってフリーの形が違います。フリーの規格はメーカーの違いで主に3つあります。日本メーカーのshimano(シマノ)、イタリアメーカーのCampagnolo(カンパニョーロ)、アメリカメーカーのSRAM(スラム)です。

日本で販売されている多くのロードバイク、グラベルロードにはシマノが装備されています。ディレイラー(変速機)とスプロケットは基本同じメーカーなので、ディレイラーに記載してあるメーカー名で確認しましょう。ディレイラーがシマノならホイールを購入する時は、「シマノフリー」の記載があるものを購入します。

フリーのスプロケット枚数

スプロケットの枚数の違い。9速と11速

ホイールにはフリーの大きさによって取り付けできるスプロケット枚数に制限があります。スポーツ自転車にはディレイラー(変速機)のグレードによって8速から12速まであり、8速なら8枚のギア歯、12速なら12枚のギア歯が付いています。

ホイールのフリーには対応できるギア歯の枚数が決められており、例えば9速~11速(9S~11S)の記載があるホイールだと8速と12速の自転車には取り付けできないので注意。自分の自転車のギア歯枚数を確認して適合するホイールを選びましょう。

また、9速~11速対応のホイールに9速か10速を取り付ける場合は、隙間を調整するスペーサーが別途必要です。スペーサーはホイールに同梱されている場合が多いです。

ディスクブレーキとリムブレーキ

ホイールにはディスクブレーキ用とリムブレーキ用があります。この二つは全く作りが違うので適合する方を選びましょう。ディスクブレーキ用はホイールの名前に「DB」と記載されていることが多いです。

タイヤの規格

タイヤには大きく分けてクリンチャー、チューブレス、チューブラーの3つがあります。それぞれのタイヤはホイールに取り付ける仕組みが違うため、目当てのタイヤを取り付けできるホイールを選びましょう。中にはクリンチャーとチューブレスどちらにも対応できる「2-Way Fit」構造のホイールもあります。ロングライドやサイクリング、普段使いであればクリンチャータイヤ対応(WO)のホイールがおすすめです。

クリンチャー。チューブレス。チューブラーの違い

  • クリンチャー:普通の自転車にも使われる一般的なタイヤ。ほとんどのスポーツ自転車にも使われています。パンク修理はチューブを交換するだけなので費用が安く簡単にできます。
  • チューブレス:自動車と同じ仕組みでチューブが入っていないタイヤです。軽くて丈夫ですがメンテナンスに手間がかかります。自転車メーカーのジャイアントに多く採用されています。
  • チューブレス:タイヤとチューブが一体となっており。ホイールには専用テープや接着剤で取り付けます。非常に軽くてパワーロスが少なくロードレースにも使われますがメンテナンスが大変で高価です。

素材

リム、スポーク、ハブ(ベアリング)にはさまざまな素材がありますが、リムの素材が最も重要です。

  • リムの素材:アルミかカーボンがあります。アルミはカーボンに比べて重いですが耐久性が高く、落車で割れたりする心配がありませんし価格が安いです。レースに出るならカーボンリムもおすすめです。
  • スポークの素材:安価な順からスチール、ステンレス、アルミ、カーボンがあります。アルミとカーボンのスポークは普段使いでそれなりに消耗しやすいので扱いが難しいです。
  • ハブベアリングの素材:安価な順からスチール、ステンレス、セラミックがあります。

リム幅

ロードバイク ホイールのリム幅

タイヤを取り付けるリムの幅には、ナローリムと言われる細いタイヤ(23~32c)を取り付ける規格と、ワイドリムと言われる太目のタイヤ(25~50c)を取り付ける規格があります。現在は乗り心地がよいワイドリムが多くなっています。「ナローリム」「ワイドリム」の記載がなくても「対応タイヤ」などの記載があります。

タイヤ太さの主流はロードバイクで25c~28c、グラベルロードやクロスバイクで28c~38cが一般的ですね。ホイールを選ぶ際は、自分が取り付けたいタイヤの太さが合うか確認しましょう。

リムハイト

リムハイトは、ホイールを横から見たときのリムの高さです。リムが高いホイールはディープホイールとも言われます。リムが高いほど空力性能とスポークの回転空気抵抗が減り巡行性能が上がりますが、リムが重くなるので漕ぎ出しとヒルクライムがしんどくなります。見た目もかっこよくなりますが、オールランドで使うなら20~50mmくらいの範囲にしておくのが無難ですね。

ロードバイク ホイールのリムハイト

高価なハイグレードモデルは扱いが難しい

20万円以上の高価なホイールは普段履きというよりレースなどの決戦用として組まれています。軽量化や回転性能を上げてある代わりに耐久性や乗り心地を犠牲にしています。チューブラーやチューブレスはタイヤ交換も大変でお金もかかるので、予算と自分の目的に合ったホイールをよく考えて購入しましょう。

おすすめホイール

重い標準装備ホイールからの交換を検討している方に、オールランドに使えてコストパフォーマンスが高いおすすめホイールを2つを紹介します。

Campagnolo ZONDA C17 WO (カンパニョーロ ゾンダ C17 クリンチャー) 

Campagnolo ZONDA C17 WO (カンパニョーロ ゾンダ C17 クリンチャー) 

まずは絶対にゾンダをおすすめします。正直ゾンダより安いホイールはたくさんありますが、標準ホイールとの違いはあまり感じられないと思います。違いを体感できるのはゾンダクラスのミドルグレード以上でしょう。

ミドルグレードの中でもゾンダのコストパフォーマンスは群を抜いていて、巡行性能、登坂性能、乗り心地、耐久性のバランスが非常にいいです!私もゾンダは2回新品で購入して長く使っています。ハブの回転も滑らかで後輪は3本のスポークをまとめた独特の組み方(MEGA-G3)をしており、脚のパワーをダイレクトに回転につなげる効果があります。また、スポークの形を平べったいきし麺状にすることで、剛性を確保しながら回転時のスポーク空気抵抗をギリギリまで抑えてあります。

さらにリムテープが必要ない構造となっているので、他のクリンチャーホイールに比べて前後で50~100g程度リムが軽くなります。重量は1540g(リムブレーキ用)となっていますが体感ではもっと軽く感じるでしょう。

通常のホイールメーカーはリムだけ自社で制作してスポークやハブは他社のを買って組み上げることがほとんどですが、カンパニョーロはハブ、スポーク、リムの関係性を計算し全て自社で設計しているので一体感でも走行性能の違いが出ているように感じます。メーカーはカンパニョーロですが、シマノフリーもありますよ。

ZONDA C17ZONDA DB(ディスク)
販売価格の目安7万円~9.8万円8万円~11万円
重量1596g1675g
リムタイプクリンチャークリンチャー
リムの高さF:27mm, R:30mmF:26mm, R:28mm
リムの幅22.5mm, C1722mm
対応タイヤ25C-50C25C-50C
スポークMEGA-G3
F:16本, R:21本
MEGA-G3
F:21本, R:21本
ハブフランジ: アルミ
ボディ: アルミ
フランジ: アルミ
ボディ: アルミ
ベアリングスチールスチール
対応するカセットシマノ:10-11S
カンパニョーロ:9-12S
シマノ:9-11S
カンパニョーロ:9-11S
スラム:12S

ICAN Alpha40 Pro  (アイカン アルファ40 プロ)

ICAN Alpha40 Pro  (アイカン アルファ40 プロ)

手軽にカーボンホイールを楽しみたい人にはアイカンのAlpha Proシリーズがおすすめです。中華カーボンと言われる台湾製ですが、各国の有名メーカーがカーボン製ロードバイクのほとんどを台湾で製造していることを考えると品質に問題はありません。世界のロードレースを管轄している「UCI 国際自転車競技連合」がアイカンのホイールをレースで使用することを認めています。

魅力は何といってもカーボンホイールながら手に入れやすい価格でしょう。TorayのT700とT800カーボンファイバークロスを使用した軽量で高性能なカーボンホイールがミドルグレードの価格で購入できます。また、クリンチャーとチューブレス両方のタイヤを装着できる仕様となっているのも特徴です。

おすすめのAlpha Proシリーズはリムハイトが40mm、50mm、55mm、86mmの中から選べます。40mmの総重量は1421±20gと他の高価なカーボンホイールに近い性能を持っています。

Alpha40 ProAlpha40 Pro(ディスク)
販売価格の目安7.8万円~9.8万円8.5万円~11万円
重量1421±20g1564±20g
リムタイプクリンチャー
チューブレス
クリンチャー
チューブレス
リムの高さF:40mm, R:40mmF:40mm, R:40mm
リムの幅25mm, C1725mm, C17
対応タイヤ25C-32C25C-50C
スポークF:20本, R:24本F:20本, R:24本
対応するカセットシマノ:10-11S
シマノ:10-11S
保証期間2年間2年間
体重制限115kg115kg

まとめ

  • パーツ交換ではホイールが1番スピードアップ効果が高い。
  • ホイール総重量よりリムの重さが重要。リムの重量が軽ければ漕ぎだしやヒルクライムが楽になる。リム重量が重ければスピード維持が楽になる。
  • スポークの本数は少なく短い方が空気抵抗が小さく高速巡行が楽。(関連記事:ディープホイールの空気抵抗
  • ホイールの規格を確認する。

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