前乗りと後ろ乗りのメリット&デメリット|ロードバイクのサドル調整

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最終更新日: 2023.12.12

前乗りと後ろ乗りのメリット&デメリット|ロードバイクのサドル調整

ロードバイクやグラベルロードといったスポーツ自転車の前乗りと後ろ乗りについてメリットとデメリットをまとめました。サドルの前後を決めるポジション調整の参考にしてください。

前乗り・後ろ乗りとは?

前乗りとは、サドルを適正な位置から前の方に調整して乗ることです。後ろ乗りは反対にサドルを適正な位置から後ろの方に調整して乗ります。

ロードバイクで前乗りと後ろ乗りの違い

基本的にはサドルは適正位置で乗るのが一般的です。しかし、身長が同じ人でも手足の長さ、胴体の長さ、筋力、柔軟性といった部分が人それぞれで違うので、走りにこだわる人や長距離走る人、楽に乗りたい人はサドルを前後に調整して自分に合ったポジションにします。

また、サドルを動かさなくても座る位置を変えることで状況に合わせた走り方はできます。

前乗りのメリット&デメリット

サドルを前に動かすと上体が起き上がり、ハンドルとペダルに近いポジションとなります。

メリット

前乗りは、体がクランクの上にくることで体重をより効率的にペダルに伝えられ、軽いギアを使ってペダルを速く回すケイデンス重視の走り方が向いています。軽いギアは脚の筋肉が疲れにくいので、持久力さえあれば高速で長距離を走る事が可能です。脚のパワーより持久力に自信がる人向けですね。

数十年前のロードバイクには軽いギアがありませんでした。しかし2010年代から軽いギアが普及して変速の幅が広がりました。それにより脚の筋力で重いギアを回すのではなく、軽いギアでケイデンス(ペダルの回転数)を上げた走り方がプロロードレース界で主流になっています。レースを目的とした人は前乗り気味に調整してみてもいいでしょう。脚を温存できるのでレース終盤でより力を出せますよ。

そしてヒルクライムでも前乗りは有利になります。坂道では前輪が上がるので、ロードバイクの角度も前上がりになりますよね。すると重心が後ろ寄りになり体重をペダルに乗せにくくなります。しかし前乗りならば最初から重心が前にあるので影響が少ないのです。

もちろん坂道だけお尻をさらに前に移動させるとより効果的なポジションになります。単純な計算では勾配10%の場合、通常より63mm前に乗れば効率的になると言われています。

また、前乗りは上体が起きるので姿勢と呼吸が楽になります。乗っていて腰や肩に負担がかかる人は、サドルを前目に調整してみてもいいでしょう。

デメリット

前乗りは、ケイデンスを使った走り方は有利ですが、脚のパワーを使いにくいです。高速でペダルを回すことにより持久力に自信がないとスピードを維持できないのもデメリットです。

一般の人は重めのギアでゆっくりペダルを回した方がマイペースで長距離を走れます。なので前乗りは初心者~中級者のゆっくりロングライドには不向きですね。

そしてハイケイデンス前提のポジションなのでペダリングのスキルが求められます。うまくペダルを回せるスキルがないとなかなか効率的に走れません。

また、上体が起きることで空気抵抗が増し風の影響を受けやすくなります。ただしステムを長くしたりハンドルを下げることで、レース用に低い姿勢へ調整することは可能です。

【前乗りのメリットまとめ】
1. 体重をペダルに乗せやすい
2. 高速ケイデンスに有利
3. レース向き
4. 脚の力を温存できる
5. 姿勢と呼吸が楽
6. ヒルクライムで有利

【前乗りのデメリットまとめ】
1. 持久力が必要
2. 脚のパワーを使いにくい
3. ゆっくりロングライドには不向き
4. ペダリングスキルが必要
5. 空気抵抗が大きい(ハンドルとステムで調整可能)

後ろ乗りのメリット&デメリット

サドルを後ろに動かすと上体が低くなり、ハンドルとペダルから遠いポジションとなります。

メリット

後ろ乗りは、脚に力を入れやすいので重いギアを使ってペダルをゆっくり回す走り方が向いています。持久力よりもパワーに自信がある人向けですね。心肺機能の酷使しないので、普段トレーニングしない人でも長距離をマイペースで走りやすいです。

そして重いギアを使うことでペダルをゆっくり回してもある程度のスピードがでます。ペダリングがゆっくりの場合、上手にペダルを回すスキルが無くてもパワーロスが少なく効率的に走れます。

軽いギアが無かった1980年代から2010年代までは、プロのレースでも重いギアを脚の力で回して走れるよう後ろ乗りが主流とされていました。2010年代以降は前乗りが主流ですが、まだまだ後ろ乗りを使うプロ選手(特にパワー系の選手)もいます。

また、後ろ乗りは上体が低くなるので空気抵抗を低減できるメリットもあります。姿勢が数センチ低くなると空気抵抗はかなり低減できるので、走りの軽さを体感できるでしょう。

デメリット

後ろ乗りは、体重をペダルに乗せにくくハイケイデンスの走行には向きません。また脚が疲れやすいのもデメリットです。

上体が前がかりになるので腰や肩、首に負担がかかりやすい姿勢になりますが、ハンドルを高くしたりステムを短くすることである程度は対応できます。

また、体重をうまく乗せられないのでヒルクライムは苦手です。坂道を走る時は、お尻をしっかり前に移動させて乗るようにするといいでしょう。

【後ろ乗りのメリットまとめ】
1. 持久力を温存して走れる
2. 脚のパワーを効率よく使える
3. ゆっくりロングライド向き
4. ペダリングスキルが無くても効率がいい
5. 空気抵抗を抑えられる

【後ろ乗りのデメリットまとめ】
1. 体重を乗せにくい
2. 高速ケイデンスに向かない
3. 脚のが疲れやすい
4. 姿勢と呼吸がきつい(ハンドルとステムで調整可能)
5. ヒルクライムでは不利

サドルの調整方法

サドルを適正位置に調整する方法です。この適正位置より前の方にサドルを動かすと前乗りとなり、後ろの動かすと後ろ乗りとなります。

サドル前後調整の流れ

ロードバイクのサドル前後位置調整

  1. 五円玉などのオモリに糸を括り付けた道具を作っておきます。糸の長さは1mもあればいいでしょう。
  2. サドルにまたがり普段座っている場所にお尻を乗せます。
  3. 計測する方の脚のペダルを前にして、左右のペダルを地面と水平に合わせましょう。
  4. 糸を膝の皿の下にあるくぼみに当てて五円玉を垂らします。
  5. 横から見て垂らした糸がペダルの軸と同じ位置にあれば適正なサドル位置です。
  6. 糸とペダル軸がズレていたら、適正なサドル位置になるまでサドルを少しづつ動かして何度もチェックしましょう。

サドル調整の補足

簡単に言えばペダルが3時の位置の時に横から見て膝の皿の下のくぼみとペダルの軸の中心が垂直の位置にあれば適正です。一人であれば横から見れないので、乗りながら上からペダルの軸と糸の位置を確認します。他に人がいれば横から見てもらいましょう。

また、本格的なレース用の調整にしたいのであれば膝の計測位置を膝皿ではなく膝関節の真ん中くらい(画像の赤線)にするといいですよ。少し前乗りになる調整ですね。

あと、たまにサドルを前下がりの斜めに取り付けている人がいますが、座面が地面と平行になるように取り付けるのが基本です。ヒルクライム用であればやや前下がりに取り付けるのがおすすめです。

上記の方法はあくまで基本的ポジションを出すやり方です。調整が終わった後に違和感があれば数ミリ単位で動かして自分が一番快適な位置を探してみましょう。

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