ついに2017年度のブエルタ・ア・エスパーニャ(以下ブエルタ)が終わりましたね。期待してワクワクして見ていましたが、どのステージもブエルタらしくいい意味で荒れた展開となりました(笑
そこで今回は、ブエルタを第1ステージから最終ステージまで観戦した感想と、最終結果だけをザックリと紹介します。
ブエルタの面白さはNO.1
自転車ロードレースの世界三大大会(グランツール)の中で最も格式が高いのは「ツール・ド・フランス」(以下ツール)です。観客数も1番多いですし、世界の注目度もナンバー1です。
また、激しい気温差などでフィジカルの戦いとなりがちなのが「ジロ・デ・イタリア」(以下ジロ)、そして厳しい山岳コースが多く、逆転に次ぐ逆転が起こりやすく面白いのがブエルタです。
ブエルタでは、普通の平坦コースでさえもちょっとした激坂を盛り込んだり、強い風が吹いていたりするので、純粋なスプリンターの参加は非常に少ないです(笑 なので、参加するのはパンチャーか、ヒルクライムが特異なオールラウンダー、純粋なクライマーが多いですね。
実際今回のブエルタも、数多くの山が選手を苦しめていました。特に20ステージは1級山岳2つをこなした後に、「ヤギの散歩道」と呼ばれる超級山岳が控える鬼コースでしたね。スポーツクラブにあるエアロバイクの一番重い設定でも軽々とペダルを回し、本気を出せばマシンを壊してしまうほどのパワーを持つプロ選手たち。そんな選手たちでも悶絶の表情でノロノロ走っていたのが印象的でした。伴走するカメラバイクに至っては途中で止まってコケていたり・・。とにかくありえないほどの山岳コースでした。
他の大会の平坦コースでは集団が崩れないので差がつくことがほとんどありません。しかし、ブエルタは平坦コースにもアップダウンが盛り込んであり、山岳コースも他のレースより厳しいので、集団が崩れやすく差が付きやすいのです。
2017年ブエルタも、ほとんどのステージで激しい動きがあったので本当にに見ごたえありました。
強すぎたフルーム&チームスカイ
今回のブエルタで総合優勝したのは、チームスカイのクリス・フルームでした。フルームは7月のツールも制覇しているので、ダブルツール制覇という偉業を達成しましたね。ただ、フルームも強いのですが、ひときわ目立っていたのがチームスカイのアシスト陣です。
レースの勝負所、厳しい激坂が続く区間で次々と有力選手が振り落とされていく中、チームスカイのメンバーは常に4~5人は残ってフルームをサポートしていました。他のチームより1枚も2枚も総合力が上だという印象でしたね。ワウテル・ポエルスに至っては、アシストしながら総合6位に入っています。
チームスカイは、「1%でもレースが有利になるならすべて実行する」といったコンセプトがあるらしく、細かいデータを盛り込んだ科学的なトレーニングと徹底した体調管理が行われています。例えば風邪のウィルスを選手に近づけないように、部屋のドアノブを一個一個消毒したり、感染症を防ぐために選手に1台ずつ洗濯機が用意されています。
そういった細かいことの積み重ねが、チームスカイの強さの秘密かもしれません。そう考えると、リッチー・ポートやリゴベルト・ウランなど、チームスカイでは無類の強さを誇った選手が、移籍先ではパッとしないのもうなづけます。
感動したのはベテラン勢の頑張り
2017年ブエルタでは、32歳になるヴィンチェンツォ・ニーバリ(総合2位)や、引退を表明しているアルベルト・コンタドール(総合5位)などベテラン勢の奮闘が大会を盛り上げました。
どちらの選手も最後の最後までアタックしてフルームを苦しめましたね。特に地元のスペインのコンタドールは、各ステージで何度も何度もアタックを繰り返し、最難関の第20ステージではステージ優勝を勝ち取り、おなじみのバキュンポーズを見せてくれました。
個人的には、強すぎるフルームの総合優勝よりもコンタドールのステージ優勝の方が感動しました。本当に今年で引退してしまうんでしょうか。ちょっと寂しいですね・・。
総合優勝以外の賞がイマイチ
総合優勝争いと、各ステージ優勝の争いは見ごたえがあり面白かったのですが、残念ながらポイント賞や山岳賞の注目度はイマイチでした。まあ、ブエルタの特性上、純粋なスプリンターやポイント賞向きの選手は少ないのでしょうがないですね。実際に総合優勝を獲得したフルームがポイント賞も同時に獲得しています。
山岳賞もわざと逃がされた選手間での争いになりますし、ブエルタでは本当にヒルクライムに自信がある選手は総合優勝を狙いに行くので、ちょっと中途半端な選手が山岳賞となりがちです。
来年からブエルタは、総合優勝とステージ優勝に注目して観戦したらいいかもしれませんね。
結果まとめ
最終結果はこうなりました。地味ですが好きなザカリンが3位に入っているのが嬉しいです。
リーダージャージ
- 総合優勝【マイヨ・ロホ】 – クリス・フルーム/チーム スカイ
- ポイント賞【マイヨ・プントス】 – クリス・フルーム/チーム スカイ
- 山岳賞【マイヨ・モンターニャ】 – ダヴィデ・ヴィッレッラ/キャノンデール・トラパック
- 複合賞【マイヨ・コンビナータ】 – クリス・フルーム/チーム スカイ
最終総合順位
- クリストファー・フルーム(チームスカイ/英国)
- ビンチェンツォ・ニバリ(バーレーン・メリダ/イタリア)+2分15秒
- イルヌール・ザカリン(チームカチューシャ・アルペシン/ロシア)+2分51秒
- ウィルコ・ケルデルマン(チームサンウェブ/オランダ)+3分15秒
- アルベルト・コンタドール(トレック・セガフレード/スペイン)+3分18秒
- ウァウテル・プールス(チームスカイ/オランダ)+6分59秒
- マイケル・ウッズ(キャノンデール・ドラパック/カナダ)+8分27秒
- ミゲルアンヘル・ロペス(アスタナプロチーム/コロンビア)+9分13秒
- スティーフェン・クラウスウェイク(チームロットNL・ユンボ/オランダ)+11分18秒
- ティージェイ・バンガードレン(BMCレーシングチーム/米国)+15分50秒