ロードレースで注目されている世界のトップ選手を特性・脚質に分けて紹介する第2弾です。今回は平地で最速のスプリンターと、独走力に優れたクロノマン(TTスペシャリスト)をご紹介します。
スプリンターは特にクセの強い選手が多いので面白いですよ。おまけ番外編では、実力的に飛びぬけていませんが個人的に面白いと思う選手をピックアップしています。
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選手の脚質まとめ
スプリンター
平坦コースでのゴール前スプリントでは最強を誇るスプリンター。その爆発力は、時速70km/hをたたき出す選手もいます。大柄で筋肉ムキムキな体格で、性格も個性的な選手が多いですね。
ペーター・サガン(ティンコフ / スロバキア)
若くから怪童と注目され、26歳で多くの賞を獲得している規格外のスプリンターです。スプリントも最高峰の部類に入りますが、山岳もハイレベルにこなせるのが特徴で、ツール・ド・フランスのポイント賞を2012~2016年まで5年連続で受賞しています。
元々の体力も飛びぬけており、ステージレースで数日連続で逃げに成功してステージ優勝したり、逃げて捕らえられてもそこからさらに最終スプリントに加わったりと信じられない事をやります。
ロードレースに参戦する前はマウンテンバイクの選手であり、バイクコントロールが非常に巧みです。圧倒的なスキルで、ウィリー状態ででゴールするなど観客を沸かせる華のある選手でもあります。集団の位置取りでサガンが「どけ!」と言ったら普通の選手は逆らえないでしょう。
マーク・カヴェンディッシュ(ディメンションデータ / イギリス)
イギリスのマン島出身なので「マン島ミサイル」の愛称を持つ純粋なスプリンターです。175cmとスプリンターの中ではやや小柄ですが、強気なコース取りと爆発的なスプリント力で平坦コースで優勝を積み重ねます。
今まで世界3大大会だけでもステージ優勝の数は48勝にも及びます(すごすぎる)。しかし、ヒルクライムに関しては激弱で、山岳ステージはほぼ最後方です。ステージレースでは、最後の方になると山岳ステージばかりなのでさっさとリタイアして次の大会に行くのもお馴染です。
マルセル・キッテル(エティックス / ドイツ)
188cmの大柄な純粋スプリンター。過去の世界3大大会でのステージ優勝回数は9回を誇ります。ガッチリでムキムキの体格を生かしてパワー溢れるスプリントをします。
安定感も抜群で平坦なスプリント向きのステージでは、ほぼ5位以内には入ってくる選手です。キッテルが勝つと実況が「キッテルきてるー!」とか言うけど誰も笑いません。現在28歳。
アンドレ・グライペル(ロット・ソウダル/ ドイツ)
キッテルと同じく183cmと体格で勝負する生粋のパワースプリンター。世界3大大会でのステージ優勝回数は20回。34歳とベテランの域に入っているので今後も結果を残せるのか注目です。他のスプリンターと同様に山岳ステージは苦手で後ろに取り残されます。
アレクサンドル・クリストフ(カチューシャ/ ノルウェー)
181cmと大柄ではあるがバネのような伸びやかな走りをする印象のスプリンター。体格もスプリンターにしてはシュッとしている感じです。
やや緩い登りのスプリントも比較的得意で、ツールではステージ2勝と少ないですが、数々のクラシックレースで優勝しているクラシックハンターでもあります。
ナセル・ブアニ(コフィディス/ フランス)
身長176cmの小柄なスプリンター。気性が荒くやや問題児な性格ですが、ゴール前の位置取りでは落車を恐れずゴリゴリ闘います。
元々はボクシングの選手からロードレースに転向してきたので、優勝ゴール時に見せるロードバイクに乗ったままシャドウボクシングのパフォーマンスがカッコいいですね。まだ26歳と若いので今後に期待。性格も落ち着くといいですね(笑)。
クロノマン(TTスペシャリスト)
一人で走りタイムを競うTT(タイムトライアル)で力を発揮するクロノマン。世界選手権TTなどのワンデーレースや、ステージレースのTTステージで実力を発揮します。
また、空気抵抗をものともしないパワーを利用して、チームの先頭で強力な引きでアシストもできます。そして、中には山岳ステージをこなせる選手もいます。
トム・デュムラン(ジャイアント/ オランダ)
現役最強のタイムトライアル(TT)スペシャリストです。今年のTTを勝ち続けてます。186cmの大柄な体格ながらクリス・フルームやクライマーのホアキン・ロドリゲスなどを抑えて山岳ステージでも優勝した事もあり、いつかはグランツールの総合優勝も狙える逸材です。しかもまだ25歳。今後の活躍は間違いないでしょう。
トニー・マルティン(エティックス/ ドイツ)
2011年、2012年、2013年世界選手権の個人タイムトライアルチャンピオンです。186cmの31歳。近年はTTでの目立った活躍はないですが、クラシックレースやTT以外のステージレースに活躍の場を広げています。
アシスト面ではマルティン列車が有名で、チームの先頭でグイグイスピードを上げてなおかつ長い時間引き続ける鬼引きはシビれます。マルティンに憧れて、口をパカーっと大きく開ける走りを真似したら舌が乾きました。個人的にはフェイスブックで登録しているくらい大好きです。
ファビアン・カンチェラーラ(トレック/ スイス)
日本のテレビ番組でも取り上げられたことがあり、知っている人も多いのではないでしょうか?35歳になる大ベテランですがまだまだ健在です。
若いころはTT専門の大会のみならず、世界選手権などの主要大会でも連続優勝した名選手です。当時の走りは周りを寄せ付けない圧倒的な感じでした。今でも攻撃的な走りでレースを盛り上げてくれます。
ブラッドリー・ウィギンス(チームウィギンス/ イギリス)
2012年のツール総合優勝を獲得した36歳の大ベテラン。チームスカイに所属していましたが、クリス・フルームにエースを奪われてから離脱。近年は「チーム・ウィギンス」というチームを自ら運営し選手を続けています。
チームの事情から大きな大会には出場していませんが、リオ五輪で金メダルを獲得したり、トラック競技で新記録(1時間走り平均時速54.526km)を打ち立てるなど数々の功績を残し続けています。
ヴァシル・キリエンカ(チームスカイ/ ベラルーシ)
元々TTは強かったですが、優勝など大きな功績はなかった選手です。そして、34歳になった2015年には、欧州TT、世界選手権TTなど大きな大会を優勝し素晴らしい成績を残しました。
層が厚いチームスカイの中にあっても高い能力を誇り、エースのフルームを山岳、平地問わず強力にアシストします。やや地味ながらチームにとっては欠かせない仕事人タイプの選手ですね。
おまけ|番外編
グランツール優勝など特に際立った成績を残していませんが、強烈な個性で独特なオーラを放っている選手を紹介します。
トマ・ヴォクレール(ディレクトエネルジー / フランス)
1979年生まれの大ベテラン。なぜか集団の一番後ろを走っている事が多いですが、得意なコース設定のステージでは積極的にガンガン逃げまくる有名選手です。
したたかなのは逃げながらも力を上手に温存し、メイン集団に追い付かれそうになってもダッシュして再び引き離す戦略性です。何度追い付かれそうになっても、再びダッシュするというバッタみたいな走りでメイン手段を翻弄し、たまに逃げ切り優勝します(笑)。
最後の局面で疲れてくると、舌を出して口周りをペロペロ舐め始めるので、解説者の栗村さんが「あ!ペロペロしだしました、わはは笑」と喜びますが、ツールで山岳賞を取ったことがあるほど実績はすごい選手です。
アダム・ハンセン(ロット・ソウダル/ オーストラリア)
2011年から世界3大大会を全て連続して完走している「こち亀」のような偉大な選手です。ニックネームは「鉄人」。普通はツールを走れば次のブエルタは休むというのが一般的で、連続でステージレースに出場するのは体力的にずば抜けている証拠ですね。しかも、6年連続はすごすぎます。
また、どんなにケガをしても走り続けるメンタルと、リタイアしない体は頑丈すぎます。世界3大大会は、普通リタイアも多く完走すら難しいんですけどね。そして、完走だけではなくチームのエースをしっかりアシストし、逃げ成功させてステージ優勝も獲得してます。
後、183cmと大きな体格ですが、極端に幅が小さいハンドルを使用しており、独特なフォームでも知られている選手です。
おまけ②|日本の解説者
自転車ロードレースの解説者や実況者は、他のスポーツに比べて緩い感じで、ワキアイアイとしている感じがいいですね。そこで、個人的に好きな解説者を紹介します。|関連記事:面白い実況解説者まとめ
栗村 修
気さくな人柄でテレビ番組の出演も多く解説内容も面白いです。わかりやすく説明しようと例え話を考えては、逆にわかりにくくて実況者に突っ込まれたりしてます(笑)。欧州でプロとして活躍した経験があり、宇都宮ブリッツェンを立ち上げたり、日本でレースを主催するなど、国内のレース界を盛り上げるために尽力されています。
浅田 顕
リオ五輪でロードレースの監督をされています。現在の日本ロードレース界では、第一人者ではないでしょうか。解説も的確で勉強になります。その他、日本ロードレースを盛り上げるため様々な活動をされています。
永井 孝樹
ある番組でパーツ永井さんとして登場してから知りました。元々欧州のトッププロチーム専属メカニックだったようで、現在は日本でロードバイクのプロショップを運営されています。元メカニック目線の解説は面白いですね。
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