2017年最初のグランツール「ジロ・デ・イタリア」も前半戦が終わりましたね。まだまだ総合優勝争いは動きが少ないですが、ステージ優勝は毎回面白い展開となっています。そこで今回は、第1ステージ~第9ステージまでの結果と、若手スプリンターの活躍、ここまでの総合勢の動きなどを、感想を交えて紹介します。
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1~9ステージ結果
第1ステージ~第9ステージまでの展開と結果をザックリ簡単にまとめます。どのレースも面白かったですね。
第1ステージ
206kmの平坦なコース設定行われたこのレース。逃げに乗った6人はゴール手前3.6kmで捕まり、勝負は最後の集団スプリントへ・・と思われたその時!ボーラ・ハンスグローエのポストルベルガーがスルスルと集団から抜け出します。
ポストルベルガーいわく、あれはアタックではなく、エースを引くために速度を上げた勢いで抜け出してしまったとの事(笑 それを追う集団は牽制しあったのか、ポストルベルガーはそのままゴールしてしまいました!まったくノーマックだったポストルベルガーの勝利は驚きでしたね。勝った本人もゴールの瞬間はかなり驚いてました(笑
第2ステージ
中級山岳を含むアップダウンがある221kmの第2ステージは、誰かがアタックで逃げては集団が吸収、といった事を何度か繰りかえす目まぐるしい展開でしたが、結局最後は集団スプリント勝負へ!
ゴール手前、有力スプリンター達が全力でゴールを目指しましたが、グライペル(ロット・スーダル)が一歩抜けだして勝利。これでグライペルのジロ通算区間優勝数は7勝となりました。強い!また、総合勢の中ではザッカリン(カチューシャ)が、パンクで20秒遅れてしまいました。好きな選手なので巻き返しに期待です。
第3ステージ
148kmの短いど平坦コースで行われた第3レース。逃げ集団はゴール手前26kmで吸収され、またもや集団スプリントかと思われた残り10km。スプリントに強いクイックステップフロアーズがチームで集団を突き放しにかかります。アタックに成功してぐんぐん加速して集団を引き離すと、途中では優勝候補のグライペルが機材トラブルで脱落してしまいます。
最後は6人のクイックステップフロアーズ選手とそれに食らいつく4人の選手で争いが繰り返されたが、6人も残しているクイックステップフロアーズが有利に展開し、結局エースのガビリアがステージ優勝!クイックステップフロアーズの戦略勝ちでした。
第4ステージ
総合勢の動きが期待される181kmの山岳コースである第4ステージ。標高1524mと標高1892mの山を超える難関コースで、2つ目の山頂がゴールとなってました。
そして、スタートそうそう逃げに乗った4選手が頑張って逃げ続けましたが、残り30km地点ではポランツェとイャンスファンレンスブルフの2人に絞られます。その後、メイン集団の多くの選手は総合を見据えて無理なアタックを控えたのか、最後まで逃げ切ったヤン・ポランツェ (UAE・チームエミレーツ)がそのままステージ優勝となりました。最初から逃げてたのでむっちゃ疲れたと思います(笑
また、ローハン・デニス(BMCレーシングチーム)が体調不良?で棄権し、ハビエル・モレノ(バーレーン・メリダ)がた選手への暴力行為で失格となってます。
第5ステージ
159kmと短距離の第5ステージは、前半は若干の峠越えが続くが後半はど平坦のコースでした。この日は2選手が最初から逃げに乗ったが、後半は平坦なので逃げ切るのは難しく、残り14.6kmで吸収され最後は典型的な集団スプリントへ。
ゴチャゴチャになった集団から最後に差して勝利を飾ったのはまたしてもフェルナンド・ガビリア(クイックステップフロアーズ)でした。ガビリアは今大会2勝目となり強さを見せつけてますね。その他、ルカ・ピベルニク(バーレーン・メリダ)がゴール地点を間違えていて、自分が優勝したと勘違いしてたシーンはほほえましかったです(笑
第6ステージ
総距離217kmの第6ステージは、平坦基調ですが微妙なアップダウンが多数あり、ゴール前には最大10%の激坂が待ち構えるパンチャー向きのコースでした。
レース展開は、序盤からヤスペル・ストゥイヴェン (トレック・セガフレード)など3選手が逃げに乗り、その後集団からアタックで抜け出したシルヴァン・ディリエ(BMCレーシングチーム)を含む2選手が、26km地点で逃げ集団に合流。そして逃げ集団はそのまま逃げ切り、ゴール手前200mからストゥイヴェンとディリエの2人だけが残り争う形になりましたが、わずかな差でディリエが勝利!
第7ステージ
前半はど平坦で後半は微妙なアップダウンがある距離224kmの第7レースは、3選手が逃げ続ける展開となるが、ゴールまで残り18kmで全員がメイン集団に吸収されました。そしてそのままスプリントへ。
ゴール手前はテクニカルなコーナーが連続しましたが、ゴール目前のカーブで先頭に立ったイーウェンがそのままスプリントを制してステージ優勝!ここまで2勝のガビリアは惜しくも2位となりました。
第8ステージ
189kmのコースには、途中で小さな山岳があり、ゴール手前にも最大勾配12%の難所があるステージです。スタートからハイペースでアタック合戦が続きましたがなかなか成功せず、48km地点でやっと13人の選手が集団から逃げ出しました。その後、さらに3選手がメイン集団から抜け出し逃げ集団に合流。これで逃げは16人に。
逃げ集団は人数が多い事もあり順調にゴールをめざします。一方メイン集団は総合争いを見据えて無理をしない展開。おのずとステージ優勝は逃げメンバーの可能性が高まります。逃げ集団はアタック合戦を繰り返し、最後は5人までに絞られ、その中から前に出てステージ優勝を勝ち取ったのはゴルカ・イサギレ(モビスターチーム)でした。
第9ステージ
1~9ステージまでで最大の難関となる149kmの山岳ステージです。ゴールは標高1665メートルでカテゴリー1のブロッカウス山頂となり、全長13kmの坂道は、上り始め7%〜6%だがすぐに平均勾配9.4%になり、中盤に最大14%の難所があります。
総合争いが動くと思われたコース設定でしたが、やはり総合優勝を狙う各チームのエースによるデットヒートが繰り広げられました。ナイロ・キンタナ(モビスターチーム)、ビンチェンツォ・ニバリ(バーレーン・メリダ)、ティボ・ピノー(エフデジ)、トム・ドゥムラン(チームサンウェブ)、バウケ・モレマ(トレック・セガフレード)、ドメニコ・ポッツォビーボ(アージェードゥゼール・ラモンディアル)、スティーフェン・クラウスウェイク(チームロットNL・ユンボ)の争いを圧倒的な登坂力で制したのはキンタナでした。
もちろん総合でもキンタナが首位に出ました。ただ、キンタナはTT(タイムトライアル)が若干弱いですし、他にTTが得意な優勝候補がいるのでこれから面白くなりそうです!
■第9ステージまでの総合成績(マリア・ローザ)
- ナイロ・キンタナ(モビスター/コロンビア)
- ティボ・ピノー(エフデジ/フランス)+28秒
- トム・ドゥムラン(チームサンウェブ/オランダ)+30秒
- バウケ・モレマ(トレック・セガフレード/オランダ)+51秒
- ビンチェンツォ・ニバリ(バーレーン・メリダ/イタリア)+1分10秒
- ドメニコ・ポッツォビーボ(アージェードゥゼール/イタリア)+1分28秒
- イルヌール・ザカリン(チームカチューシャ/ロシア)+2分28秒
- ダヴィデ・フォルモロ(キャノンデール/イタリア)+2分45秒
- アンドレイ・アマドール(モビスター/コスタリカ)+2分53秒
- スティーフェン・クラウスウェイク(ロットNL・ユンボ/オランダ)+3分06秒
【各賞】
- ポイント賞:フェルナンド・ガビリア(クイックステップフロアーズ/コロンビア)
- 山岳賞:ヤン・ポランツェ (UAE・チームエミレーツ/スロベニア)
- 新人賞:ダヴィデ・フォルモロ(キャノンデール/イタリア)
大会前に一波乱
100回記念となった今回のジロ・デイタリアですが、大会前にいろいろありました。まずは、カザフスタンのアスタナプロチームに所属していたミケーレ・スカルポーニ(イタリア)が、4月22日に交通事故で他界してしまいました。今回のジロにはエースとして出場予定だったようで、アスタナプロチームはスカルポーニに敬意を表し、代役を立てずに8人で大会に参加しています。
他には、大会の前日に競技外でのアンチ・ドーピング検査の陽性が発覚したステファノ・ピラッツィ(バルディアーニ・CSF/イタリア)とニコラ・ルッフォーニ(バルディアーニ・CSF/イタリア)の2人が出場停止となっています。とても残念ですね。
新星スプリンターの活躍
今回のジロにはグライペルを筆頭に、今まで数多くの勝利を積み重ねてきたスプリンターが出場しています。そして、それに対抗するように若手スプリンターの活躍が目を引きます。
フェルナンド・ガビリア
フェルナンド・ガビリア(クイックステップフロアーズ)はコロンビア出身の選手で、22歳の若さながら関係者の間では現役最強のスピードじゃないかと噂されていました。そして、初めてのグランツール出場とあり期待はされていたのですが、ふたを開けてみたらここまで2勝!!期待以上ですね!
コロンビアはキンタナを筆頭に強力なクライマーを生み出す国だと思われていましたが、スプリンターのレベルが高い事も証明しました。所属するクイックステップフロアーズは、高速トレインでスプリンターを強力にアシストできるメンバーが揃っているので、今後も勝ち星を重ねそうです。
カレブ・イーウェン
オーストラリア出身のカレブ・イーウェン(オリカ・スコット)も注目の若手スプリンターです。今回のジロでも1勝をあげてますね。小柄な体格で上り気味のスプリントにも強いのが特徴です。今後、ガビリアとのスプリント勝負は見所の一つですよ!
総合優勝の見所
総合優勝争いはキンタナが一歩リードしていますが、まだまだ山岳コースは残っていますし、TTもまだ2ステージあります。TTはスペシャリストのトム・ドゥムランの他、得意としている優勝候補は多いのでキンタナは第9ステージでつくったタイム差を縮められるでしょう。
山岳コースで強いキンタナとTTスペシャリストのドゥムラン、そこに山岳もTTも高いレベルでこなすニバリ、ピノー、モレマ、ザカリン、クラウスウェイクが絡む展開になりそうです。個人的には年齢を重ねて落ち目ではありますが、前回王者のニバリを応援しています!
ジロ・デ・イタリアを生観戦しよう!
2016年までジロの放送はスカパーのJスポーツだったのですが、2017年度はネット配信のDAZNが放送してます。2017年5月現在、登録すると1カ月無料なのでジロを最後まで観れますね。
ロードレースの他にも格闘技、バスケ、テニス、野球、モータースポーツ、サッカー、ラグビー、アメフト、アイスホッケー、ダーツ、バレー、水泳、フィッシングが観れますよ。
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