2016年UCIワールドチームまとめの第2弾です。今回は解散が決定している強豪チームティンコフも紹介します。ティンコフは個性が強すぎて書きたいことがいっぱいありますが、軽めにまとめてみます(笑)。
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【目次】
チーム カチューシャ|TEAM KATUSHA
ロシアの大手3企業がメインスポンサーとなっていますが、ロシア政府も関与し国家プロジェクトとしてチーム運営している自転車チームです。国家が運営しているスポーツチームってのもすごいですよね!もちろんロシア国籍の選手を中心に構成されていますが、約半数かそれ以上に外国籍の選手もいます。
グランツールで総合優勝や各賞に絡むト実力者はいませんが、ステージ優勝や総合10位以内には十分食い込める選手を数人揃えています。クライマーにホアキン、ルーラーのザカリン、スプリンターのクリストフとそれぞれ強力なスペシャリストが注目です。
使用バイク
キャニオン軽量モデルの「アルティメットCF SLX」ではなく「エアロードCF SLX」を採用していまう。近年エアロ系のマシンを標準使用するチームが増えていますが、カチューシャは生粋クライマーのホアキン・ロドリゲスもエアロを使用しています。そんなにエアロがいいのか今度乗り比べてみたいです。ちなみに同じキャニオンのロードバイクを使っているモヴィスターは軽量モデルを使用しています。
フレーム - キャニオン・エアロードCF SLX【ドイツ / フレーム価格33万1000円】
コンポーネント - スラム・eTap
ホイール - ジップ・303
タイヤ - コンチネンタル・コンペティションプロLTD
ハンドル - キャニオン・エアロコックピット CF
サドル - セライタリア・SLR
ペダル - ルック・Keo 2 マックスカーボン
ヘルメット - ジロ・シンセ
ジャージ - カチューシャスポーツ
注目選手
ホアキン・ロドリゲス(スペイン/クライマー)
ベテランのクライマー。激坂になればなるほど小柄で軽量の体格を活かし力を発揮します。グランツールでの総合優勝こそありませんが、総合の表彰台に5回も登っています。その他にも多くの賞を獲得しており、地元スペインや、日本での人気も高いです。ただ、年齢から今季で現役引退しそうですね。
イヌアール・ザカリン(ロシア/ルーラー)
昨年ツール・ド・ロマンディを総合優勝し注目されている若手オールラウンダーです。ジロでは区間優勝も獲得しています。体格がフルームに似ているので今後に期待ですね。
アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー/スプリンター)
鋭くキレのある走りをするスプリンター。同チームのアシストが足りなくても、個の力でステージ優勝をもぎ取るなど予想外の選手でもあります。
キャノンデール・ドラパック|CANNONDALE DRAPAC
亀里香の自転車メーカー「キャノンデール」が自らスポンサーを務めるチームです。今期は大改革を行いウランとローランを新しくメンバーに加えましたが、やや小ぶり感はいなめません。個性とパンチがある選手が足りないですね。ウランがかつての勢いを取り戻せば面白くなると思いますが、総合10位かステージ1勝が現実的な目標になりそうです。
使用バイク
見た目がワンパクな雰囲気を醸し出してますね。キャノンデールのハイエンドモデルは最高に軽いイメージでホイールはマヴィックと質の高い出来になっています。
フレーム - キャノンデール・スーパーシックスエボ【アメリカ / 完成車価格135万円】
コンポーネント - シマノ・デュラエースDi2
ホイール - マヴィック・コズミックアルチメイト
タイヤ - マヴィック
ハンドル - FSA・エナジーコンパクトハンドル
サドル - フィジーク・アリアンテR1
ペダル - シマノ・デュラエース
ヘルメット - ポック・オクタル
ジャージ - カステリ
注目選手
ピエール・ローラン(フランス/オールラウンダー)
実力はありますが、他チームの総合エースに比べるとちょっとおとなしい印象です。よく逃げて頑張るけど、あんまり実を結ばないのはお馴染みです。グランツールで総合10位に入る実力はあります。
リゴベルト・ウラン(コロンビア/クライマー)
前チームのスカイでフルームを強烈にアシストしたり、ジロで2位に入ったことから「あれ?エースで総合も狙えるんじゃね」って感じで移籍したけど、そこまでじゃなかった選手。もう一度輝きを取り戻してほしいですね。
ジャイアント・アルペシン|GIANT-ALPECIN
自転車メーカーのジャイアントと、男性用育毛用品メーカーのアルペシンがメインスポンサー。昨年まではキッテル(その後移籍)がいたのでスプリントに強いチームというイメージでしたが、2016年からデュムランが加入しワンデーレースとグランツール総合を視野に入れた陣容に変わりました。ただ、現実的な目標はステージ優勝かクラシックステージ1勝でしょう。
使用バイク
ジャイアントのコスパの高さを表すように、ハイエンドモデルの完成車58万円を基本に仕上げられています。他チームのロードバイクが100~200万円クラスだと考えるとジャイアントは本当にユーザーにやさしい自転車メーカーです。ただ性能は他の高級メーカーと比べても全然遜色なく、昨年はキッテルがこのバイクで勝ちまくりました。
フレーム - ジャイアント・TCRアドバンスドSL【台湾 / 完成車価格58万円】
コンポーネント - シマノ・デュラエース
ホイール - シマノ・デュラエース
タイヤ - ヴィットリア
ハンドル - プロ
サドル - プロ
ペダル - シマノ・デュラエース
ヘルメット - ジャイアント・レブ
ジャージ - エチェオンド
注目選手
ワレン・バルギル(フランス/クライマー)
24歳と若いながらに総合を期待されるクライマーです。ただ、同じフランス人の若手ピノー、バルデと比べてやや実績が少ないですね。
トム・デュムラン(オランダ/クロノマン)
近年のグランツール個人TTステージで圧倒的な力を見せつけている選手。その独走力でTT以外のステージでも勝利を重ね、近年ではヒルクライムでも力を見せつけ総合を狙えるようになっています。
ジョン・デゲンコルブ(ドイツ/スプリンター)
2014年ブエルタでポイント賞を獲得した選手。グランツールでも多くのステージ優勝を重ねています。
チーム スカイ|TEAM SKY
衛星放送のスカイUKがメインスポンサーのチーム。豊富な資金力で、現在のグランツール優勝候補筆頭であるフルームを擁し、最強の豪華アシスト陣が周りをかためる強豪です。注目選手でまとめている選手は一部であり、他にも高い実力を持った選手を多く抱えていて層が非常に厚いです。
チームカラーとしては練習、食事、体のケア、バイク、戦略のどれをとっても緻密な理論で構成されている機械のような印象。「どんな小さなことでも勝つために実践する」というスタンスを崩しません。
チームスカイで実績を残して移籍した選手が、移籍先では思うように活躍できてないですね。チームスカイの選手管理能力の高さがうかがえます。
使用バイク
フレームは、イタリアの名門メーカー「ピナレロ」の最強マシン「ドグマF8」を使用しています。自動車メーカーのジャガーと、カーボン素材大手メーカーの東レがパートナーを組み共同開発した独自のロードバイクです(カッコいい!)。
特別なカーボン素材「T1100 1K」は東レがピナレロだけに供給しています。ドグマに乗っている友人にインプレを聞いたところ「むっちゃ硬い」との事なので、実力者でないと乗りこなせないかもですね。
フレーム - ピナレロ・ドグマF8【イタリア / フレームセット価格64万8000円】
コンポーネント - シマノ・デュラエースDi2
ホイール - シマノ・デュラエース
タイヤ - コンチネンタル・コンペティション
ハンドル - プロ
サドル - フィジーク
ペダル - シマノ・デュラエース
ヘルメット - カスク・プロトネ
ジャージ - ラファ
注目選手
クリス・フルーム(イギリス/オールラウンダー)
2016年現役最強の選手。どんなステージでもトップレベルの力を発揮しますが、特にTTと山岳ステージでは圧倒的な強さを発揮します。マイペース走法が有名で、ライバルのアタックで差を付けられても、決して焦らずサイコンのデータを確認しながらじわじわ追い上げます。
ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド/ルーラー)
ワンデーレースで好成績を残す選手でTTも得意。過去には、総合も本気で狙いましたが、今のところ入賞どまりですね。総合力は高いのでアシストとして非常に頼もしい存在です。
ゲラント・トーマス(ウェールズ/クロノマン)
オリンピックの北京とロンドンでトラック競技金メダルを獲得しているTTスペシャリストです。平地など独走力が必要な場面で先頭に立ち、チームをしっかりサポートします。
ヴァシル・キリエンカ(ベラルーシ/パンチャー)
TTが得意で独走力があるが、山岳でもスピードと勢いで登れるベテラン選手。多くのステージレースとTT大会で実績を残しています。例によってフルームに張り付いて、強力にアシストします。
ミケル・ランダ(スペイン/クライマー)
2015ジロで総合3位に入った期待の若手です。フルームが引退した後はエースを引き継ぐくらいに成長するかもしれませんね。今はアシストを頑張ってます。
ディメンションデータ|DIMENSION DATA
2016年からUCIワールドチームに加入した新しいチーム。メインスポンサーはITサービス関連のディメンションデータ。今季から現役最強のスプリンターであるカヴェンディッシュが加わり平坦ステージでは勝ちまくるでしょう。
山岳では若いフライレが大活躍し、2016ブエルタで山岳賞を獲得しました。その他にも山岳が得意な若手が多いので、山岳系レースと平坦レースで今後の結果が楽しみですね。
使用バイク
エアロ系の筆頭メーカーであるサーヴェロは最強のスプリンターチームによく似合います。空気抵抗を何から何まで計算されたフォルムは本当にかっこいいです!特に後輪にまたがるシートステーはきれいに曲がっていて独特な雰囲気をかもしだしている。個人的に一度は所有してみたいフレームメーカーのひとつです。
フレーム - サーヴェロ・S5【カナダ / フレーム価格67万円】
コンポーネント - シマノ・デュラエースDi2
ホイール - エンヴィ・SES 4.5
タイヤ - コンチネンタル・コンペティション チューブラー
ハンドル - エンヴィ・ ロードコンパクト
サドル - フィジーク・アリアンテR3 ブレイディド
ペダル - スピードプレイ・ゼロ
ヘルメット - メット
ジャージ - オークリー
注目選手
マーク・カヴェンディッシュ(イギリス / スプリンター)
イギリスのマン島出身であることから「マン島のミサイル」とも呼ばれる現役最強のスプリンターです。身長175cmとスプリンターにしては珍しく小柄な体格ですが、185cm前後の選手をゴール手前で差し切るパワーは脅威。ツール・ド・フランスだけでステージ30勝(歴代2位)と実績は他を圧倒しています。ただ、山岳は弱くいつもだいたい最後尾ですね(笑)。
エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー / スプリンター)
TTも得意なスプリンターでステージレースやワンデーレースを数多く獲得しており、カベンディッシュのアシストとしては最適。チャンスがあればステージ優勝も狙えます。
オマール・フライレ(スペイン / クライマー)
26歳と若いですが、2016ブエルタで山岳賞を獲得し一気に注目を集めた純粋なクライマーです。粘り強い走りが印象的。
ティンコフ|TINKOFF
ロシア投資銀行のティンコフがメインスポンサーですが、名物オーナーのオレグ・ティンコフさんのやる気、のみで運営されていたチームでもあります。ティンコフさんは大のロードレースファンで情熱を抑えきれずトップレベルのチームを作り上げてしまいました(笑)。
グイグイ前に出てくるタイプのオーナーで、過激な発言を繰り返しては紙面をにぎわせました。自らロードバイクにまたがり、観客に混じって選手を鼓舞(威圧)する姿もお馴染みです。大量の資金を使って集めた選手もかなり強力で、オールラウンダーのコンタドール、スプリンターのサガン、クライマーのマイカを中心にアシストもかなりレベルが高いです。本当に残念ですが今季までで解散が決定しています。
使用バイク
ティンコフが駆るロードバイクは安定の軽量オルランドモデルS-WORKSのターマックです。2014年にモデルチェンジしたこのモデルは、3年間の構想で生み出された設計思想でできています。各フレームサイズは、ただ大きさを変更しただけではなく、サイズごとに最適なジオメトリーになるよう修正が加えられている点も注目です。
フレーム - スペシャライズド・Sワークス ターマック【アメリカ】
コンポーネント - シマノ・デュラエースDi2
ホイール - ロヴァール
タイヤ - スペシャライズドチューブラー
ハンドル - FSA
サドル - プロロゴ・スクラッチ2
ペダル - ルック・Keo Blade2
ヘルメット - スペシャライズド・イヴェード
ジャージ - スポーツフル
注目選手
アルベルト・コンタドール(スペイン/オールラウンダー)
グランツールをすべて制覇し、なおかつ総合優勝回数は6回と伝説的な成績を残しているオールラウンダー。平地やTTは飛び抜けてはいないが高い安定した実力があり、得意の山岳ステージで勝負をかけるタイプ。ヒルクライムでは、独特なフォームのダンシングを多用しながらアタックを繰り返すのが特徴です。その攻撃的なスタイルで人気がありますが、2016年は年齢からピークを過ぎているとの声もあり、大きな成績は残せませんでした。
ペーター・サガン(スロバキア/スプリンター)
若い頃より「スロバキアの怪童」と呼ばれ圧巻の走りをしている規格外の選手。元々オフロード出身とありテクニックもトップレベルで、山の下りでも他の選手を突き放すコーナーリングはすごいです。脚質は一応スプリンターとなっており、平坦のスプリントで優勝できる実力もあるが、山岳も高いレベルでこなせます。
持久力にも優れているのでどんなコースでも対応でき、ステージレースでは何度も逃げまくりスプリントに絡みながらステージ優勝をかっさらいます。また、ツール・ド・フランスのスプリント賞は、ここ数年サガンが独占しています。
ラファル・マイカ(ポーランド/クライマー)
ツールで2度山岳賞を獲得している純粋なクライマー。しかもコンタドールをアシストしながら賞を獲得しているのは驚きです。今後は総合を狙える選手になれるかもしれません。
ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア/スプリンター)
ジロとブエルタでポイント賞を獲得している実力者。山岳も登れ、TTも得意なので逃げに乗ったり、全身バネのような早がけスプリントでステージ優勝を狙います。ティンコフではコンタドールのアシストを中心に仕事をこなす。
ロマン・クロイツェゲル(チェコ/オールラウンダー)
グランツールで総合10位以内に食い込む力があるオールラウンダー。このレベルの選手がコンタドールのアシストに徹底しているのがティンコフの強さですね。
マイケル・ロジャース(オーストラリア/クロノマン)
若い頃に世界自転車選手権・個人タイムトライアルを3連覇した選手。オールラウンドな力もありツアー・オブ・カリフォルニアも過去優勝しています。ロジャースもコンタドールのアシストしながら、ステージ優勝を狙います。