北米とアジアの有名フレームメーカーのイメージや特徴、価格帯の目安をまとめます。国別にカナダ、アメリカ、台湾、日本のメーカーを紹介しますので、ロードバイクやグラベルロード選びの参考にしてください。
ロードバイクの発祥はヨーロッパですが、近年は北米とアジアのフレームメーカーやパーツも技術が進化しているのでヨーロッパと同等かそれ以上の人気と性能を誇ります。
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アメリカのメーカー
科学的データを積み上げて常に進化を続けているアメリカのメーカー。多くの実験を繰り返し理論を突き詰めて生み出されるフレームはリアルな性能を誇ります。今では多くの世界トップチームに機材を提供し、日本でも非常に人気があります。
TREK(トレック)|アメリカ
1976年創業。航空宇宙の技術をバイクにも活かそうと世界に先駆けてカーボン素材を使ったフレームの開発を始めました。その後、独自のカーボン製造技術で特許を取得しロードバイクの歴史を大きく動かしました。現在は技術力が高い最先端フレームメーカーのイメージを確立しています。
トレックのカーボン製造技術はOCLVと呼ばれ、カーボンを理想的な繊維と樹脂の比率に圧縮し、カーボンファイバーの層の間に存在する空間を航空宇宙規格まで最小限に抑えることで最高強度を誇るフレームを作り出しています。この技術で2000年代になるとツール・ド・フランスといった大きなレースで数多くの実績をあげています。
また、エントリーグレードからミドルグレードに採用されているアルミフレームは、フレームを形成するアルミチューブを型にはめ、内側に液体を注入する技術が使われています。この技術は設計に応じた理想の形状への成形を実現し、高い強度、空力性能、軽量性を備えたアルミフレームに仕上ます。
トレックは日本での販促に力を入れているので、店舗の数が多いのも特徴です。気になる人は近くの店舗で試乗してみましょう。また、トレックはパーツやアクセサリーを「Bontrager(ボントレガー)」のブランド名でリリースしています。ホイール、サドル、ペダル、シューズ、ヘルメットなどを取り扱っています。 (TREK/トレック公式サイト)
販売:契約専門店のみ(トレック直営店が日本全国にあり)
完成車の価格帯(定価):約10万円~180万円
※価格帯は全てロードバイク、グラベルロード対象です。
SPECIALIZED(スペシャライズド)/S-WORKS(エスワークス)|アメリカ
「SPECIALIZED」と「S-WORKS」は、フレームに記載されるブランド名は違いますがリリースしているメーカーは同じです。エントリー~ミドルグレードのモデルがスペシャライズド、レース仕様のハイグレードモデルがS-WORKSとなっています。
トレックはアメリカとドイツに開発チームを置いています。そこでフレーム各部分の強度や形状などを微妙に変えた数十万種以上のフレームを仮想コンピュータで制作し、シミュレーションと分析を繰り返し最適な答えを見つけ出しました。結果、乗り心地、剛性を両立したバイクを完成させています。
また、大規模な風洞実験施設では空気抵抗を最大限軽減させるための実験が繰り返され、最適なフォルムの研究も行っています。膨大なデータと検証を繰り返された「スペシャライズド」「エスワークス」は妥協のない精密マシーンのようなイメージですね。(SPECIALIZED/スペシャライズド公式サイト)
販売:契約専門店のみ
完成車の価格帯(定価):約15万円~180万円
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Cannondale(キャノンデール)|アメリカ
キャノンデールはアメリカの自転車メーカーの中では最も歴史が古く、1971年にコネチカット州で創業したフレームメーカーです。名前からロケットや弾丸みたいな加速をイメージしてしまいますね。
特徴は世界をリードするアルミ製造技術の高さです。アルミ製ロードバイクの最高峰と言われるCADD(キャド)シリーズが有名で、最新のCADDにちょっと良いホイールを付ければレースにも使える高性能なロードバイクが出来上がります。高性能なアルミフレームが欲しいならキャノンデールのCADDシリーズは選択肢に入るでしょう。
ハイグレードのカーボンフレームもギリギリまで無駄をそぎ落とした軽量バイクとなっており、パワーを使ったレース終盤の加速にもしっかり答えてくれる剛性も備えています。代表的なカラーは鮮やかなグリーンで、お抱えの自転車チームもグリーンのジャージを着用して世界のトップで活躍していますよ。
まれに一般的な自転車店でも販売されており意外と親しみやすいメーカーでもあります。その他、フロントフォークが片側しかない斬新なデザインのクロスバイク「bad boy シリーズ」も有名です。(Cannondale/キャノンデール公式サイト)
販売:基本契約専門店・まれに一般自転車店にあり
完成車の価格帯(定価):約15万円~180万円
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MARIN(マリン)|アメリカ
1986年にマウンテンバイク発祥の地であるサンフランシスコ郊外のマリン郡に設立された自転車メーカーです。主にマウンテンバイクを制作するメーカーで、MTBのチタンフレームが有名です。
2010年代のスポーツ自転車ブームから一般的な自転車量販店で売っているのを見かけるようになりました。ロードバイクの扱いは無く、グラベルロードとクロスバイク、マウンテンバイクがあります。しっかりとした作りながら定価の価格帯が10万円~25万円と安く、手に入れやすいのが特徴です。
街乗りや中距離のサイクリング、山道をのんびり走りたい人におすすめです。(MARIN(マリン)公式サイト)
販売:一般自転車店
完成車の価格帯(定価):約10万円~25万円
カナダのメーカー
雄大な自然広がる北米カナダ。自転車競技の盛り上がりは年々大きくなっています。フレームメーカーは、空気抵抗を抑えるエアロ系スタイルが目立ちます。
cervélo(サーヴェロ)|カナダ
1995年にトライアスロンやタイムトライアルで使用するTTバイクを造り始めたのが始まりです。その流れを受け継ぎ現在でもTTバイクやエアロ系ロードバイクが有名で人気があるフレームメーカーですね。平地での高速巡行を意識したフォルムのバイクが多いです。もちろんヒルクライム用やオールランドモデルもあり、世界のトップレースでもたびたび見かけます。
特に人気のSシリーズは、ヒルクライムでも使えるオールランドな性能ながら極限まで空力性能にこだわり、他のメーカーとはまったく違うリヤタイヤを包み込むようなシートチューブやステムを使わないフレーム一体型ハンドルなどが特徴的です。
見た目もすごくカッコイイですし、タイムトライアルのように独力で長距離を1秒でも早く速く走りたいユーザーにおすすめのメーカーですよ!(cervélo/サーヴェロ公式サイト)
販売:契約専門店のみ
完成車の価格帯(定価):約50万円~210万円
Argon18(アルゴン18)|カナダ
カナダでNO.1ヒルクライマーと讃えられたジェルベー・リュー(Gervais Rioux)が引退後の1989年に創業したのが始まりです。2010年代から世界トッププロチームに機材提供を行うようになり知名度と人気が上がってきました。名前の由来は、元素周期表18番であるArgon(アルゴン)からきています。
「重量、剛性、快適性、エアロダイナミクスのバランスを最適にする」をコンセプトにフレームを制作。フレームの形は、全体的に空気抵抗を減らすエアロ系スタイルとなっています。平地を高速で走るのが似合いそうですね。TTバイク(トライアスロンバイク)のラインナップも充実しています。
ハイエンドモデルは、剛性と快適性という相反する2つの要素を融合するために、クランク周りとフロントフォークは剛性を高めて作り、トップチューブとシートステーは振動吸収性を追求した作りで1つのフレームを完成させているのが特徴です。(Argon18/アルゴン18公式サイト)
販売:契約専門店のみ
完成車の価格帯(定価):約25万円~65万円
LOUIS GARNEAU(ルイガノ)/GARNEAU(ガノー)|カナダ
自転車量販店などでも多くのモデルが販売されているカジュアルで親しみやすいフレームメーカーです。本格的なスポーツ自転車というよりも、どっちかというとファッション性が高く街乗り感が強いイメージです。街乗りメインなので、グラベルロードタイプの自転車にも泥除けが標準装備されていたり、スタンドやキャリアが後付けできます。
「ルイガノ」はカナダに本社を置くブランドのことです。「ガノー」は株式会社あさひ(サイクルベースあさひ)がルイガノから商標使用許可を得てロードバイクなどのスポーツ自転車を取り扱っているブランド名です。
どちらもカジュアルな私服でちょっとそこまで行きたい人や、のんびりサイクリング、気軽に通勤に使う人におすすめです。(ルイガノ公式サイト)
販売:一般自転車店(ガノーはサイクルベースあさひ)
完成車の価格帯(定価):約5万円~35万円
台湾のメーカー
台湾メーカーは低コストでパフォーマンスが高いフレームを作れるのが特徴です。そのため世界中の有名メーカーが自社で設計だけ行い、初心者~中級車用のフレーム製造は台湾メーカーに委託していると言われています。高性能な本格ロードバイクを安く手に入れたければ、台湾メーカーはおすすめですね。
GIANT(ジャイアント)/LIV(リブ)|台湾
1972年創業。ジャイアントはコストパフォーマンスが非常に高い世界最大規模のスポーツ自転車メーカーです。そして、ツール・ド・フランスなどの世界トップレースにも機材提供経歴がある一流メーカーでもあります。クロスバイクで定番となっているエスケープR3でも有名ですね。
ジャイアントストアという専門店を全国に展開しており、一般的な自転車店での取り扱いも豊富です。もちろんスポーツ自転車専門店での取り扱いも多いです。価格帯も安めで最初の一台には持ってこいですが、販売チャンネルの多さがアダとなり他人とかぶる事が多いので個性はあまり出せません。
女性専用で「LIV(リブ)」というブランドも発売されています。フレームサイズが小さくデザインやカラーリングが女性らしい華やかなものとなっています。
また、欧州や北米の有名トップメーカーのフレーム製造も請け負っていて、世界で販売されているミドルグレード以下のロードバイクの多くが台湾製だと言われています。それだけに性能は信頼性が高いですね。コスパ第一で個性を出すことにこだわりがなければ、ジャイアントは最初の一台としておすすめです。(GIANT/ジャイアント公式サイト)
販売:一般自転車店・ジャイアントストア・契約専門店
完成車の価格帯(定価):約13万円~160万円
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MERIDA(メリダ)|台湾
1972年に創業。世界第2位の生産量を誇る超大手自転車ブランドであり、世界のトッププロチームにも機材提供を行う一流フレームメーカーです。ドイツのシュツットガルトに開発ラボがあり、ドイツと台湾の技術を融合し革新的なアイデアで設計されたロードバイク、グラベルロードを世界中に配給しています。
ジャイアントと同じく自社工場で製造を行うためコストを抑えられ、高性能なスポーツ自転車を比較的安い価格で購入できるのが特徴です。もちろん世界中の有名メーカーのフレーム製造も請け負っています。
近年はエントリーモデルのロードバイクでも、ワイヤーをフレームに内蔵して見た目をスッキリかっこよくみせるなど細かい努力と進化を見せています。(MERIDA/メリダ公式サイト)
販売:一般自転車店・契約専門店
完成車の価格帯(定価):約12万円~160万円
関連記事:初心者でも購入しやすい一流自転車メーカー!ジャイアントとメリダ
日本のメーカー
日本のメーカーは部品ひとつひとつの精度が高く、ジオメトリー(フレームの各パーツの長さ)が胴長で手足が短い日本人を考慮した設計となっています。
anchor(アンカー)|日本
アンカーは1949年創業のブリジストンサイクル株式会社が母体となるブランドです。1964年の東京オリンピックを機に自転車部が創設され1999年にスポーツ自転車専門のブランド「アンカー」を立ち上げました。日本が誇る日本人の為のフレームメーカーです。
ペダルを踏んだ力を無駄なく前へ進む力に変えるために素材、空力、強度、剛性、質量など走りに関係するさまざまな要素を分析。実験施設でのシミュレーション・試作・計測を繰り返し技術を常に進化させています。
デザインやカラーリングはシンプルで落ち着いてるイメージです。ジオメトリーを日本人の体形に細かく合わせてあるので姿勢が楽で乗り心地がいいのが特徴です。自分もアンカーのRIS9というモデルに乗っていた時期がありますが、体にぴったりフィットしていて長距離乗っても疲れにくいロードバイクでした。次に新しいロードバイクを買うなら、アンカーも十分検討したいです。(anchor/アンカー公式サイト)
販売:契約専門店
完成車の価格帯(定価):約11万円~140万円
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FUJI(フジ)|日本
1899年創業と日本でも最も古い自転車メーカーのひとつです。1970年代からロードバイクでアメリカ進出を果たし現在でもグランツールへの挑戦を続けています。本社はアメリカにありますが、発祥が日本ということで日本メーカーに分類しました。
本格的にレースやロングライドで使用するよりも、オシャレに街乗りしたりカジュアルなサイクリングに適したメーカーです。特徴としてはクロモリ(鉄)バイクが充実していて、クラシカルなデザインと見た目の自転車が多いですね。
また、ロードバイクよりクロスバイクやミニベロ、ピストバイクのラインナップがなので豊富で、自分のスタイルに合わせて気軽にサイクリングを楽しみたい人におすすめです!
販売:一般自転車店
完成車の価格帯(定価):約8万円~20万円