以前の記事「ロードバイクトレーニングの基本」で、簡単なトレーニング方法を書きました。今回はさらに踏み込んで、「ロングライドやブルベ」「ヒルクライムレース」「アマチュアロードレース」それぞれの目的別にトレーニング方法を書きます。
ただし、どのトレーニング方法にしてもフィジカルの底上げは必要です。「ロードバイクトレーニングの基本」を先に見ることをおすすめします。無理なくスピードアップして、より楽しい自転車生活を送りましょう。
ロングライド&ブルベのトレーニング方法
自転車仲間との楽しいロングライドやブルベ。しかし後半になると仲間から遅れがちになり、迷惑をかけてしまう・・。そんな経験ないですか?そこで弱い部分を効率よく鍛えて、100km以上のロングライドでもスピードを維持できるようにしましょう。
フィジカルの底上げを
ロングライドは景色を楽しんだり、仲間とおしゃべりしたりするのも醍醐味ですよね。なのでレースほど強度は高くないですが、長い距離を移動するので持久系の遅筋繊維を強化するのがメインとなります。
この場合、具体的なトレーニング方法としては、とにかく無理のない自分のペースで長距離を何度も走り込むことです。強度は低くてもいいので、乗った時間が長ければ長いほど遅筋繊維はおのずと強化されます。乗り込んでフィジカルを鍛えましょう。
正しいペダリングを身につける
「ロードバイクトレーニングの基本」でも書きましたが、効率の悪いペダリングで頑張ってトレーニングしても、ダメなペダリング技術と無駄な筋肉が身に付くだけです。まずは全身のパワーと体重を効率よくペダルの回転に伝えられるよう、正しいペダリングを意識して身につけましょう。
関連記事:知っておきたいペダリングの基本
自分の弱点を知る
ロングライドの「どんな場面で仲間から遅れてしまうのか?」を考えてみます。平坦で遅れてしまうなら持久力が弱いか、トレイン走行の位置取りが悪く、空気抵抗を多く受けてしまうなどいろいろな原因が考えられます。
持久力が弱いならスタミナをつける為に長距離を走るトレーニングが必要ですし、トレイン走行が苦手なら仲間と走るときに位置取りを意識してみるといいでしょう。
坂道の上りで遅れてしまうなら単純に体重が重いか、ケイデンスやパワー、持久力が足りていないなどが考えられます。ダイエットや上りでのトレーニングを中心に行うといいですね。ただし、あくまでロングライドが目的なので、トレーニング強度は低めでかまいません。
後は走行時のギア比とケイデンスもチェックします。平坦であればケイデンス毎分80~100回転が目安になりますが、これ以下ならパワーに頼ったペダリングをしていることになりますので、ギア比を軽くしてケイデンスを上げるトレーニングをしましょう。上りであればケイデンス毎分70~90回転が目安になります。
ヒルクライムレースのトレーニング方法
ヒルクライムレースも基本的にフィジカルを上げれば速くなりますが、いい成績を収めるには高強度のトレーニングも必要になってきます。また、ここで紹介するトレーニング方法はヒルクライム以外にエンデューロ(耐久レース)にも効果的です。
インターバル練習が効果的
ヒルクライムレースやエンデューロに挑戦するなら持久系である遅筋繊維の代謝能力を高めるトレーニングが有効です。意図的に酸素が足りない状況に体を追い込むと、肝臓からホルモンが出て酸素を運ぶ赤血球の量が増えます。その他、毛細血管の本数や酸素摂取量も増えるので、遅筋の代謝能力が上がり、持久力が向上するのです。
それを踏まえて持久系のトレーニングとして有効なのは、出力パワーを上げ下げするインターバルトレーニングです。限界の7~8割と4~5割の力での走行を繰り返すことで速筋からでた乳酸をバンバン燃焼させるのです。キツいトレーニングですが、耐えて継続することで確実に速くなります。
具体的には、全力走行の7~8割の力で走り、キツくなってもしばらく走り続けます。どれくらいの時間走るかは自分のレベルに合わせて決めます。次にサイクリングペースより速い4~5割の力まで減速し乳酸と足の疲れを抜きます。そしたらまた7~8割の力までペースを上げます。これを繰り返すのです。
ただ、限界まで一気に追い込まないように注意してください。耐えられるキツさをだらだらと長く続けるのがコツです。(こっちの方が精神的にきます笑)限界まで追い込んで完全に休息するトレーニングはスプリンター向けのメニューとなります。
ローテーションで筋肉の切り替えを覚えよう
ロードレースで少人数集団がトレインを組み、先頭を交代しながら走るのがローテーションです。先頭は空気抵抗をモロに受けるためより多くの出力が必要です。その為、速筋である大腿四頭筋をメインに使います。
そしてローテーションのためスピードを落として最後尾まで下がるのですが、後ろに付くときにちょっとだけ加速するので大腿四頭筋を使いますね。後は使う筋肉を遅筋に切り替えて走るのですが、慣れていないと速筋をそのまま使い続けてしまい中切れすることも・・。ローテーション練習で筋肉の切り替えを意識して体で覚えましょう。
上りが楽になるテクニック
ダンシングにはパワーが大きい大腿四頭筋を使って攻めるダンシングと、スピードは落ちますが脚を休ませるダンシングの2つがあります。休むダンシングは体重を最大限に使ってダンシングするので脚の筋肉を落ち着かせて乳酸を抜くことができます。
また、傾斜によって使う筋肉を切り替えるのも有効です。緩い傾斜では遅筋を使って、厳しい傾斜では速筋メインで走るといった感じです。トレーニング時に使う筋肉を意識してみましょう。
アマチュアロードレースのトレーニング方法
ヒルクライムやエンデューロよりさらに競技色が強いのがロードレースです。フィジカルだけではなく、集団での位置取りやペース配分など戦術的な部分も要求されます。
自転車仲間と集団走行のトレーニング
ヒルクライムやエンデューロは己の力を信じて淡々と走るレースです。つまり自分との戦いですが、ロードレースは他人との駆け引き、相手の実力をいかに発揮させないかがポイントになってきます。
例えば100人が走るロードレースの場合、集団の前方10人と後方10人とでは負荷が違います。ストップストリームで後ろの方が楽かと思われがちですが、コーナーでは集団が詰まって後方はかなり減速しなければいけません。そして立ち上がりの加速で脚をガシガシ使わされるのです。つまりある程度前にいないといけないのです。
また、レース序盤のアタック合戦では先頭集団に残る為に、速筋である大腿四頭筋を使います。その後の落ち着いたら遅筋に切り替えてペースを守った展開になりますが、それでもかなり速いスピードで長時間走ります。よってロードレースに参加するには、基本的なパワーと持久力、ペダリング技術はもちろん、集団で落車しないバイクコントロールや戦術が必要なのです。
そこで、ある程度高いフィジカルを持った自転車仲間と一緒に、ロードレースを想定したトレーニングをするのが効果的です。人によって脚質や得意コースなど能力は様々です。自分の実力を発揮できる走り方を確立しましょう。
【関連記事】
ロードバイクトレーニングの基本
効果的な体幹トレーニング方法