2016年7月から無線式電動変速機「スラム レッド e タップ」が日本国内で販売が開始されました。ちょっと遅いですが(笑)機能や特徴などをまとめたいと思います。(関連記事:3大コンポーネントメーカーの特徴 – スラム編)
発売当時はもっと普及すると思ってたんですが、自分は使っている人をまだ見た事ないです。結構いいコンポーネントだと思うんで、メリットとデメリットを調べてみました。
【目次】
無線方式
スラム レッド e タップの最大の特徴は何といっても電動無線式って所ですね。変速のケーブルが必要ないので、ハンドル回りがスッキリしてハンドリングが正確になり、空気抵抗もわずかですが抑えられます。
また、無線の周波数帯は混線しないようにeタップ専用となっています。そして最も解読が難しいと言われている128ビットの暗号で通信するので、妨害電波などのトラブルも問題ありません。また、この仕組みは日本の総務省の認可を受けています。
シフト操作
シフトレバーはスラムの機械式と同様2本のみですが、シフト操作は3つの動作で行われるシンプルな方法に進化し使い勝手は向上しています。
リヤ変速の操作は、①右レバーを押す事でシフトアップ(小さいギヤへ移動)、②左レバーを押せばシフトダウン(大きいギヤへ移動)します。フロントの操作は、①と②のレバーを同時押しすれば変速します。かなり操作がシンプルになっていますね。
シフト操作がシンプルなので、あまり考えずに直感的に操作できる事がメリットなのですが、ダンシング中は重心が左右に動くので、両手を使うフロント変速が若干面倒になるデメリットもあります。
後、シフトレバーの押し幅はシマノDi2よりやや深め、カンパニョーロのEPSより浅めになっており、ちょうど中間といった感じです。ちょうどよい押し幅でミスタッチは少なくなりそうですね。
変速速度は、シマノDi2のように流れるような感じではなくややモッタリして、一段一段変速する感じです。ただ、ロードレースで不利になるようなレベルではないので問題ないでしょう。
それぞれのパーツに直接バッテリーを搭載
eタップは他メーカーの電動コンポのようにバッテリーが独立しておらず、シフターとフロントディレイラー、リヤディレイラーに直接取り付けてあり、コンパクトでバッテリーが目立ちません。それでは各パーツのバッテリー内蔵位置を見てみましょう。
シフターの電池
シフターの電源はバッテリーではなくて、市販のボタン電池CR2032を左右に1個ずつ内蔵しています。CR2032は2個入りで100円ショップに売ってあるので経済的です。また、電池の交換時期は、使用頻度にもよりますが約1年が目安となります。
フロントディレイラーのバッテリー
フロントディレイラーのバッテリーは非常に小型で高性能です。リヤと同じ型式なので共用可能。ディレイラーへの固定は樹脂製のフックで行います。充電時間は45分で、最長90時間稼働します。
リヤディレイラーのバッテリー
リヤもフロント同じバッテリーで、ディレイラーへの固定方法も同じです。ただ、リヤは変速頻度が多いので大体60時間の使用で充電が必要となります。
電池残量を表示
電池残量は各パーツに装備されたインジケーターを押すと確認できるようになっています。電池残量によって、緑、赤、赤点滅のシグナルがあり、赤点滅モードになった時点でフロントディレイラーが9時間、リヤディレイラーが6時間、シフターは1か月の電池寿命が目安となります。
加速度センサー内蔵のリヤディレイラー
eタップの動きをつかさどるのは、リヤディレイラーに内蔵された加速度センサーです。休憩などでロードバイクが動かなくなると、30秒でセーブモードになりバッテリーの消耗を抑えます。またディレイラーの動きを的確に制御しています。
もし、リヤディレイラーのバッテリーが切れてしまうと加速度センサーが働かなくなるので、フロントのバッテリーをリヤに付け替える必要があります。
ブラケットがちょっとだけスリムに!
機械式のシフターに内蔵されていた歯車などの部品は不要となったので、eタップのブレーキレバーブラケットはややコンパクトになりました。縦方向の高さが縮小され、全幅もスリム鳴った印象。手で直接扱うパーツなので、少し違うだけで感覚はだいぶ変わってきます。手の小さい人や女性にも持ちやすいブラケットとなってますね。
サブシフトを装備可能
TTバイクにeタップを取り付ける場合は、画像のようなサブシフトをアップバーやTTバー、ドロップ部に取り付けて拡張することができます。もちろん、TTバイク以外でも拡張は可能です。
ファンクションボタンで同期と変速の微調整
前後ディレイラーとシフターは配線でつながってないのでワイヤレスで同期(ペアリング)させてやる必要があります。同期させる方法は、それぞれのパーツのファンクションボタンを押すだけで、すぐに完了します。
フロントディレイラーは、機械式と同じようにYAWテクノロジーを取り入れ、基本的にチェーンがガイドに触れない設計になっています。なので、オートトリムのような機能はありません。
リヤディレイラーは、シフターの変速スイッチとその内側にあるファンクションボタンを同時に押す事で、ディレイラーの位置を0.25mmずつ左右に微調整できます。(トップ側に動かす場合は右レバー、ロー側に動かすには左レバーを操作)
日本での価格
eタップのシステムは、フロント&リアディレイラー、左右シフトレバーの3点で実現可能です。他メーカーの電動コンポのようにジャンクションみたいなパーツはありません。
販売時はこの3点セットに、ファームウェアをアップデートする際に使用するUSBスティックの「ドングル」と充電器が付属します。販売価格の目安はセットで¥189,000です。
フロントディレイラー
- 取り付け:直付式(アダプターでバンド式に対応)
- 重量:187g(バッテリー込み)
- 変速数:2段
リヤディレイラー
- ケージタイプ:ショート
- 最大対応歯数:28T
- 重量:239g(バッテリー込み)
- 変速数:11段
シフター
- 重量:260g(左右セット)
まとめ
スラム eタップの最大の特徴とメリットは無線式という事と、シンプルで直感的なシフト操作ですね。細かい部分に改善の余地は残りますが、そこまで大きい欠点はありません。とにかく配線を減らして空気抵抗を減らして、見た目をスッキリしたいユーザーにはおすすめです。
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