2017年ジロ・デ・イタリアは中盤戦が終わり、5/23日(火曜)からいよいよ勝負の山岳ステージへ突入します。と・・その前に、第10ステージから15ステージまでの結果と、総合優勝争いの状況をまとめました。山岳ステージは熱い戦いになりそうです。
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第10~15ステージ結果
中盤戦のステージレース結果を簡単に紹介します。平坦ステージが多かったですが、第10ステージのTT(タイムトライアル)では総合順位が大きく動きましたね。
第10ステージ
休養日明けの中盤戦始めのステージは、距離39.8kmで多少のアップダウンがあるTTステージでした。TTが得意な選手が好タイムをたたき出す中で、圧倒的な力を見せつけたのはTTスペシャリストのトム・デュムラン(チーム・サンウェブ)でした。なんと2位を49秒も引き離しての圧倒的勝利。この結果、総合でも2位を大きく引き離して首位となりました。
この日は強い向かい風が吹いていたので、体重が重くパワーがあるTTスペシャリストのデュムランに有利でした。それに対して体重が軽いヒルクライマーのナイロ・キンタナは、向かい風が不利に働きデュムランから2分53秒も遅れてしまいました。山岳ステージで稼いだ30秒のアドバンテージは一気に吹き飛び、総合2位にランクダウンです。

第10ステージ優勝:トム・デュムラン(チーム・サンウェブ)
第11ステージ
カテゴリー2とカテゴリー3の中級山岳を含む、4つの峠を超える161kmのコースです。ゴールは山を下ってから少し走った位置にあったので、山を上れるスプリンターにもチャンスがあるコースでしたね。
ただ、このステージを勝ったのは生粋のクライマーオマール・フライレ(ディメンションデータ)でした。ブエルタでは2015年と2016年に山岳賞を獲得している26歳のフライレは、グランツールでのステージ優勝は初めてなのでかなり喜んでましたね。
25人の大人数逃げグループから形成されたこのステージ。その中から抜きつ抜かれつのアタック合戦が繰り広げられ、非常に面白い展開となりました。最後はピエール・ローランとルイ・コスタ、フライレの争いになりそうでしたが、ローランとコスタはゴール手前で追走集団に吸収されてしまいます。そして、ギリギリで最後まで逃げ切ったフライレが見事優勝を獲得しました!また、総合争いには動きはなかったです。

第11ステージ優勝:オマール・フライレ(ディメンションデータ)
第12ステージ
今大会最長距離234kmで行われたこのステージは、前半に低い山がありますが、後半は緩い下り基調の平坦コースでした。コース的に純粋なスプリント勝負になりそうなコース設定です。スタート直後は、アタックした3人の逃げ集団が頑張って最大7分近くメイン集団を引き離す展開に。
ただ、メイン集団は余裕をもって逃げを追走。残り数kmで難なく吸収すると、やはり最後は純粋なスプリントへ!最後はマクシミリアーノ・リチェセなど有能なアシスト人にけん引されたフェルナンド・ガビリア(クイックステップフロアーズ)が圧倒的な力でステージ優勝!ガビリアは今大会3勝目の挙げました~。(強すぎる そして総合勢に動きはありませんでした。

第12ステージ優勝:フェルナンド・ガビリア(クイックステップフロアーズ)
第13ステージ
距離167kmで、スタートからゴールまで全く起伏のないド平坦コースで行われたこのレース。この日も3人がスタート直後からアタックをかけて逃げに臨みましたが、メイン集団とのタイム差は最大2分とまったく広がりませんでした。完全にメイン集団にコントロールされてましたね。
そのままなんの波乱もなく、逃げは残り22km地点で吸収。最後のスプリント勝負ではボーラ・ハンスグローエがいい形でトレインを作り、エースのサム・ベネットを勝たせようとしますが・・、最後に勝利をもぎ取ったのはまたもやフェルナンド・ガビリア(クイックステップフロアーズ)でした・・。
しかも、この日ガビリアは、ゴール手前でアシストと連携がうまくいかず孤立してしまいましたが、自力で先頭に飛び出しています。本当に強いですね!他のスプリンターはもっとがんばれ!(笑 ガビリアは今大会4勝目です。

第13ステージ優勝:フェルナンド・ガビリア(クイックステップフロアーズ)
第14ステージ
131kmのコースはスタートから120km地点までキレイな平坦ですが、最後の11kmは平均勾配は7%、中盤に最大13%の難所がある標高1142mのカテゴリー1の山岳となってます。しかも山頂ゴールとなっており、第15ステージ以降の連続した超級山岳ステージへの入口といった感じですね。
レースが始まる前は、ヒルクライマーで総合2位のナイロ・キンタナ(モビスター)が総合1位のトム・デュムラン(チーム・サンウェブ)との差を縮めると予想してました。レース展開は終盤の山岳に入る手前でメイン集団が逃げを吸収し、各チームの総合勢が先頭を引き始めてアタック合戦を開始しました。
そして案の定、キンタナが残り3km地点で華麗なアタックを決めてメイン先頭集団から抜け出します。そのまま逃げ切って、どこまでデュムランとの差を詰めるのか注目されましたが、淡々とペースを維持して上るデュムランとイルヌール・ザカリン、ミケル・ランダに、なんと残り1km地点で追いつかれてしまいます。
その後、ゴール手前でスパートしたザカリンとデュムランが抜け出し、わずかな差で差し切ったデュムランが優勝!なんと山岳でキンタナとのタイム差を広げてしまいました・・。これで総合1位のデュムランと2位のキンタナとのタイム差は、2分47秒になってしまいました。デュムランってTTスペシャリストですが山岳も強いんですよね。

第14ステージ優勝:トム・デュムラン(チーム・サンウェブ)
第15ステージ
199kmで行われたこのコースは、後半にカテゴリー2とカテゴリー3の峠を2つ越えた後、ゴール目前には平均勾配7.9%、最大12%の石畳の坂がありました。この日は最初のアタックがなかなか決まらず、平均時速51.8km/hで108km走ってやっと逃げ集団ができます。こういった展開は選手にとってかなりキツイでしょうね・・。
残り40km切ったあたりで、10人で形成された逃げ集団に、メイン集団から抜け出したピエール・ローランとルイスレオン・サンチェスが加わり逃げ切りゴールを狙います。余談ですが、ローランはなかなか勝利できませんが、積極的に逃げて勝負をかけるので見ていて気持ちいいですね(笑
そして、ローランとサンチェスを含む逃げ集団は、そのまま頑張って逃げ続けましたが残り4kmで吸収されます。その瞬間にアタックを仕掛けたのは新人賞ジャージを着たボブ・ユンゲルス(クイックステップフロアーズ)でした。
わずかに抜け出したユンゲルスに総合上位陣が追随する形で先頭集団ができましたが、最後の最後に抜け出してステージ優勝したのは、このレースで積極的に動いたユンゲルスでした。クイックステップフロアーズはガビリアとユンゲルスで今大会5勝目となり、大成功を収めてますね。スポンサーさんもホクホクでしょう(笑

第15ステージ優勝:ルクセンブルクのボブ・ユンゲルス(クイックステップフロアーズ)
ここまでの順位
■第15ステージまでの総合成績(マリア・ローザ)
- トム・ドゥムラン(サンウェブ/オランダ)
- ナイロ・キンタナ(モビスター/コロンビア)+2分41秒
- ティボ・ピノー(エフデジ/フランス)+3分21秒
- ビンチェンツォ・ニバリ(バーレーン・メリダ/イタリア)+3分40秒
- イルヌール・ザカリン(カチューシャ/ロシア)+4分24秒
- バウケ・モレマ(トレック/オランダ)+4分32秒
- ドメニコ・ポッツォビーボ(アージェードゥゼール/イタリア)+4分59秒
- ボブ・ユンゲルス(クイックステップ/ルクセンブルク)+5分18秒
- アンドレイ・アマドール(モビスター/コスタリカ)+6分01秒
- スティーフェン・クラウスウェイク(ロットNL・ユンボ/オランダ)+7分03秒
- アダム・イェーツ(オリカ・スコット/オーストラリア)+7分43秒
【各賞】
- ポイント賞:フェルナンド・ガビリア(クイックステップフロアーズ/コロンビア)
- 山岳賞:トム・ドゥムラン(チームサンウェブ/オランダ)
- 新人賞:ボブ・ユンゲルス(クイックステップフロアーズ/ルクセンブルク)
噂以上にすごいルーキー
ここまでスプリントで4勝挙げているフェルナンド・ガビリア(クイックステップフロアーズ)は本当にビックリです。関係者の間で「現役選手で最高速度は一番ではないか?」と噂されていましたがまさかここまでとは・・。
いや、クイックステップフロアーズには、マクシミリアーノ・リチェセを筆頭にスプリント向きの優秀なアシストが多くいるも強さの秘密だと思いますが、第13ステージは個の力でねじ伏せましたからねぇ。

フェルナンド・ガビリア(クイックステップフロアーズ)
現在スプリントポイントもたくさん獲得しているので、ポイント賞(マリア・チクラミーノ)も間違いないでしょう。まだ22歳と若いので、今後ツール・ド・フランスやブエルタ・アエスパーニャでマルセル・キッテルやマーク・カヴェンディッシュ、ペーター・サガンといったトップスプリンター達との戦いが見ものですね。また楽しみが増えました!
総合争いの行方
第15ステージ終了時点では、トム・ドゥムランが2位のナイロ・キンタナに2分41秒の差をつけていますね。今後、トラブルが無ければ、総合優勝はこの2人の争いになりそうです。
キンタナは軽量なクライマーなので、傾斜がキツく、長い上りで巻き返してくるはずです。第16ステージから第20ステージは長くて厳しい山岳ステージの連続です。ここでキンタナは2分41秒の差をひっくり返したいですね。
ただ、第21ステージはTTなのでトム・デュムランの独壇場となります。おそらく1分30秒~2分くらいキンタナに差をつけて勝つと思います。なのでキンタナは、今後続く山岳ステージで2分41秒の差を縮めると同時にさらに2分以上は差をつけたいですね。結構厳しいかも・・(笑
唯一の救いはキンタナは最後まで体力を温存する傾向があるって事です。いつも最後の最後になって力を出し切ってきます。まだ、予想以上の力を温存していると思うので、優勝の可能性は十分残されています。
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