2016 UCIワールドチーム紹介①

ロードレースが面白い

最終更新日: 2023.11.14

2016UCIワールドチーム紹介 ①|海外ロードレース

自転車ロードレースのチームは入れ替わりが激しいので有名です。世界トップカテゴリーに位置するUCIワールドチームも例外ではありません。2016年まででティンコフとイアム・サイクリングが解散となってしまいますね。

ロードレースファンとしては残念に思います。特にティンコフはアクが強いキャラが(オーナー含めて笑)揃っていたので「もっと見たかったなぁ」という思いが強いです。

という事で今シーズンも終わりに近づいてますが、ティンコフ、イアムがいた時代を記録するために2016年のUCIワールドチーム18チームの特徴、注目選手、使用バイクをまとめます。

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2016 UCIワールドチーム紹介パート③

アージェードゥゼール・ラ・モンディアル/AG2R LA MONDIALE

保険や年金共済組合を運営するG2R・ラ・モンディアルがメインスポンサーを務めるフランスの自転車チームです。大元の母体は1992年に結成されたため長い歴史があります。大金をはたいて他チームから有名選手を引き抜くような事はせず、地元フランスの若手を中心に地道に選手育成を頑張っているので応援したくなりますね。

過去にグランツールの総合優勝などはありませんが、ステージ優勝やワンデーレース優勝は多数獲得している実力派チームです。近年、生粋のフランス人「ロメン・バルデ」が成長してきており、フランス国内ではグランツール総合優勝も期待されている逸材です。その他の若手も要注目です。

AG2R チーム

使用バイク

フォーカスのフレーム重量は1045gと超軽量級。ヘッド周りに「ブートボックス」という仕組みを採用し剛性を高めているため、ペダリングの力をしっかり受け止めます。

メーカーによると、2016年モデルから独自設計のシートポストを採用し、乗り心地も良くなったとも事。シュッとして細いフォルムに分厚いディープホイールがカッコいいですね。

AG2R 使用バイク

フレーム:フォーカス  イザルコ マックス 【ドイツ / フレーム価格42万円】
コンポーネント:スラムeTap
ホイール:ジップ
タイヤ:コンチネンタル
ハンドル:ジップ
サドル:フィジーク
ペダル:ルック
ヘルメット:エコイ
ジャージ:ワンウェイスポーツ

注目選手

ロメン・バルデ(フランス / オールラウンダー)

2016年ツール・ド・フランス(以下「ツール」)で総合2位に輝いた逸材。チームがコツコツ育ててきたフランス出身の選手で、まだ26歳と若く念願のグランツール総合優勝を期待されています。特にツール総合優勝は出身国で開催されるのでぜひ欲しいタイトルですね。

アレクシー・ヴュイエルモズ(フランス / パンチャー)

短い激坂を得意とする選手。激しい傾斜でも猛スピードで軽々と登っていくパンチ力があります。年齢は28歳とまだまだ若いです。

アレクシー・グジャール(フランス / ルーラー)

タイムトライアルも得意なルーラータイプで大逃げが得意。タフな持久力が武器で、レース序盤で彼が逃げたらぜひ注目しましょう。

ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア / クライマー

AG2Rでは珍しいイタリア出身の33歳。2013年にはジロ・デ・イタリアで総合10位になるなど、オールラウンドに活躍できる選手です。近年大きなタイトルは獲得していませんが、ベテランらしい走りでアシストしながらステージ優勝を狙います。

アスタナ プロチーム/ASTANA PRO TEAM

カザフスタン政府がメインスポンサーを務める国営チームです。際立ったキャラで人気のヴィノクロフ大佐がチームをまとめています。ヴィノクロフ大佐(監督)は、元選手で祖国の英雄でもあり、その活躍っぷりを認められ本当に大佐の称号を与えられています。兵卒(アスタナの選手)を激しく鼓舞し、勝利すれば大喜びし、負けた選手には鉄槌が下されます。(笑)

関係が深いイタリアの選手が多く所属し、カザフスタンとイタリア連合みたいになっていますね。総合力は非常に高く、ダブルエースのニーバリとアルを中心に、アシストもLLサンチェス、スカルポーニ、フグルサング、カタルド、ティラロンゴ、ローザ、ゼイツ、カンゲルトと超豪華な布陣となっています。2016年ジロの総合優勝者ニーバリが来年は移籍するとの噂があり非常に残念です。来年は若手のエース、ファビオ・アルの頑張りに期待です。

アスタナ チーム

使用バイク

使用するのはS-WORKSのロードバイクです。多くの自転車乗りの憧れのフレームメーカーです。前モデルからはダウンヒル性能が進化しているとの事。なお、ニーバリは今シーズンより機械式から電動コンポに代えたようですね。コリマのホイールは、スポーク組が独特で気になります。

アスタナ 使用バイク

フレーム:スペシャライズド・エスワークス ターマック【アメリカ / フレーム価格49万円】
コンポーネント:カンパニョーロ
ホイール:コリマ
タイヤ:スペシャライズド
ハンドル:FSA
サドル:スペシャライズド
ペダル:ルック
ヘルメット:スペシャライズド
ジャージ:モア

◆ 注目選手 ◆

ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア / オールラウンダー

「メッシーナの鮫」のニックネームを持つ攻撃的で熱い選手。ツール1回、ジロ2回、ブエルタ1回とグランツールを全て制覇する偉業を達成しています。もちろんその他多くのクラシックレースも優勝しており、歴史に名を刻む名選手なのは間違いありません。走りが攻撃的で面白いためファンが多いですが、引退も考える年齢になり、アルにエースを譲り来年は移籍する予定です。

ファビオ・アル(イタリア / オールラウンダー)

2015年に25歳の若さでブエルタ総合優勝、ジロで総合2位と華々しい成績を残した選手です。同じチームのニーバリに体格が似ており、走りも攻撃的で熱いためニーバリ2世として注目を集めています。2016年は他チームのマークに合い結果を残せませんでしたが、ニーバリがいなくなる2017年以降はエースとして大きな期待がかかります。

ルイスレオン・サンチェス(スペイン / オールラウンダー)

数々のワンデーレースとグランツールのステージ優勝を獲得している名選手です。2014ブエルタで山岳賞も獲得しています。他の平均的なチームであればエースも張れる実力者ですが、強豪チームのアスタナではアシストに徹しています。

ミケーレ・スカルポーニ(イタリア / クライマー

2011年ジロの総合優勝1回、ステージ優勝6回という輝かしい成績を持つ36歳ベテラン。ピークは過ぎていますが、その実力派は健在で、他チームを圧倒するほどのアシスト力を見せます。

ヤコブ・フグルサング(デンマーク / オールラウンダー

クラシックレースやグランツールで多くの入賞(10位以内)を獲得している総合力の高い選手です。2016年リオオリンピックでも個人ロードレースで銀メダルを獲得しました。グルグサングのようなレベルの選手がアシストに徹すれば、エースはかなり楽になるはずです。

イアムサイクリング/IAM CYCLING

IAM INVESTMENT FUNDSという投資事業財団が運営するスイスのチームです。2013年に立ち上がった新しいチームでしたが、2016年まででの解散が発表されました。新興チームではありましたが、積極的に逃げに乗り、ステージ優勝やワンデーレース優勝もいくつか獲得しています。

特に解散が決まった2016年度は全ての3大大会でステージ優勝を獲得するなど、開き直った感じの活躍が目立ちました。これからのチームだったのに本当に惜しいです。実力のある選手は、来年どのチームに移籍するかは注目です。

イアム・サイクリング

◆ 使用バイク ◆

スコットの新作ロードバイクは、基本エアロ系ですが平地コース以外でも使える万能性マシンとなっています。前モデルに比べて「6W」の空気抵抗を削減しつつ乗り心地もアップしています。フレームからステムにつながる部分が特徴的でグッときますね。

イアム 使用バイク

フレーム:スコット・フォイル プレミアム【スイス】
コンポーネント:シマノ・デュラエース
ホイール:DTスイス
タイヤ:コンチネンタル
ハンドル:シンクロス
サドル:シンクロス
ペダル:シマノ・デュラエース
ヘルメット:ジロ・シンセ
ジャージ:クオーレ

◆ 注目選手 ◆

マティアス・フランク(スイス / オールラウンダー)

多くのワンデーレースやステージレースで入賞と、2016年にブエルタでステージ優勝を飾っていますが、今後グランツールで総合優勝を狙えるかは疑問ですね。イアムではエースでしたが、他チームに移籍したらアシストも十分考えられます。

ハリンソン・パンタノ(コロンビア / クライマー

2016年ツールでステージ優勝と敢闘賞2回を獲得した27歳。今年でイアムはなくなりますが、これだけの実績があれば他チームからのオファーはたくさんあるはずです。

エティックス・クイックステップ/ETIXX-QUICK STEP

製薬会社オメガファルマ社と、床材メーカーのクイックステップ社がメインスポンサーを務める自転車大国ベルギーのチームです。平坦ステージでのスプリントと、ワンデーレースを得意とするクセがあるチーム。グランツールの総合優勝やスプリント賞、山岳賞には絡みませんが、スプリントコースでは大活躍します。

平坦ステージではレース終盤に華麗なトレインを組み、世界選個人タイムトライアルで3度優勝しているトニー・マルティンの鬼引きで、ポジションをしっかり確保します。その後、エースであるスプリンターのキッテルが、キッチリと優勝を積み重ねるパターンをよく見ます。他のアシスト選手も平地コースに長けている選手が多いですね。総合争いでは、数少ないオールラウンダーのダニエル・マーティンが奮闘します。

エティックス・クイックステップ

◆ 使用バイク ◆

通常はS-WORKSのターマックを使用しますが、平坦ステージではエアロ系のヴェンジ・ヴァイアスも使います。ホイールは、ローヴァルを装備しており、ロードバイクも平地でのスプリントを意識しています。シンプルな見た目もカッコイイと思います。

エティックス 使用バイク

フレーム:スペシャライズド・Sワークス ターマック【アメリカ / フレーム価格49万円】
コンポーネント:シマノ・デュラエース
ホイール:ロヴァール
タイヤ:スペシャライズド
ハンドル:FSA・エナジー
サドル:スペシャライズド
ペダル:シマノ・デュラエース
ヘルメット:スペシャライズド・イヴェード
ジャージ:フェルマルク

◆ 注目選手 ◆

マルセル・キッテル(ドイツ / スプリンター)

グランツールの平坦ステージで9勝している、現役最高のスプリンターの一人です。188cm、80kgという、いかにもスプリンターといった体格を活かして、パワーを前面に押し出したスプリントは迫力満点です。

トニー・マルティン(ドイツ / クロノマン)

世界選手権の個人タイムトライアルで3連覇の実績があり、数々のTT大会を総なめにしているTTスペシャリストです。グランツールの平坦ステージでは、キッテルのためにアシストをこなします。マルティンのアシストは本当に強力で、「マルティン列車」とも呼ばれています。

ダニエル・マーティン(アイルランド / クライマー

ステージレース優勝やクラシックレースで実績のある選手。30歳と年齢的にもピークを迎えているようで、グランツールの総合争いでも目立つ活躍をしています。2017年も活躍しそうなので注目です。

ジュリアン・アラフィリップ(フランス / オールラウンダー)

2016ツアー・オブ・カリフォルニアの総合優勝者。山岳も得意ですし、総合力も高いですがここまでの実績は今ひとつですね。まだまだ24歳なので、フランスで期待される選手の一人です。

トム・ボーネン(ベルギー / スプリンター)

ツールでのステージ6勝、2014ポイント賞、ブエルタでもステージ2勝しているベテラン選手です。現在はキッテルのスプリント発射台としてアシストに徹しています。贅沢ですね。

ジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア / クライマー

2014ブエルタでは、走りながら殴り合いの喧嘩をするなど気合の入った選手です(笑)。2016年のジロとブエルタはステージ優勝を飾り、レースをかき回す存在感を見せました。

エフデジ/FDJ

フランスの宝くじ公社がメインスポンサー、指揮をとるのは有名フランス人監督で、所属する選手もほぼフランス人というフランス人の為のチームです。チームカラーもトリコロール(フランス国旗)カラーで、トレードマークは三つ葉マーク。フランスにこだわり過ぎなのか、ステージ優勝は毎年少しはあるものの、特に大きな実績はありません。

ただ唯一、ティボ・ピノーが若手ながら2014年ツールで総合3位と新人賞を獲得し、フランス国内の期待を一身に受けています。ただ、周りのアシストが他の強豪チームに比べてやや見劣りし、大事な局面ではピノーが一人だけで孤軍奮闘する場面も見られます。

ツールはフランスが誇る世界最高のロードレースなですが、1985年のベルナール・イノー以来フランス人優勝者がいない状況です。ピノーが国民の期待を一身に背負って、ツール総合優勝を狙います。

エフデジ チーム

◆ 使用バイク ◆

フランス国民のためのフランスオンリーチームは、ロードバイクももちろんフランスメーカーのラピエールです。シートチューブとトップチューブのつなぎ目が独特で目を引きます。シートステーがトップチューブからそのまま伸びている構造で軽量化と乗り心地UPを実現。フレーム以外のコンポーネントは、安定のシマノでまとめています。

エフデジ 使用バイク

フレーム:ラピエール・ゼリウスSLアルチメイト【フランス / フレーム価格38万円】
コンポーネント:シマノ・デュラエースDi2
ホイール:シマノ・デュラエース
タイヤ:コンチネンタル
ハンドル:プロ
サドル:フィジーク
ペダル:シマノ・デュラエース
ヘルメット:BBB・イカロス
ジャージ:ビトウィン

◆ 注目選手 ◆

ティボ・ピノー(フランス / オールラウンダー)

ツール総合3位も経験している才能ある若手で、今後のグランツールで総合優勝を期待されています。ピノーに強力なアシスト選手が2名いれば、十分闘えると思うんですけどどうでしょう。

オリカ・バイクエクスチェンジ/ORICA BikeEXCHANGE

オリカ(資源開発・鉱業)がメインスポンサーを務めるオーストラリアのチームです。近年新しい若手がどんどん出てきており、成長著しいので注目です。ベテランのサイモン・ゲランスを中心に、スプリンターのマシューズ、クライマーのチャベス、オールラウンダーのイェーツ兄弟が若手として大活躍しています。

2016年も多くのクラシックレースとステージでのタイトル獲得、それからチャベスとイェーツ兄弟がグランツールで総合優勝に絡んでいます。オーストラリアは国全体でもロードレース界で実績を急激に伸ばしており、オリカは今後も勢いのある若手選手がどんどん出てきそうですね。

オリカ・バイクエクスチェンジ

◆ 使用バイク ◆

イアム・サイクリングと同じスコットのロードバイクを使用しますが、山岳ステージはアディクト・チームイシューを使用します。

オリカ グリーンエッジ 使用バイク

フレーム:スコット・フォイル プレミアム【スイス】
コンポーネント:シマノ・デュラエースDi2
ホイール:シマノ・デュラエース
タイヤ:コンチネンタル
ハンドル:プロ
サドル:フィジーク
ペダル:シマノ・デュラエース
ヘルメット:スコット・ヴァニッシュ
ジャージ:クラフト

◆ 注目選手 ◆

エステバン・チャベス(コロンビア / クライマー

26歳と若く小柄な体格ながら、山岳ステージで無類の強さを発揮しグランツールの総合上位に食い込む選手です。童顔で可愛い笑顔で、オリカの選手が優勝したら一番先に嬉しそうに祝福に行く姿が好印象です。今後、弱点のTTを克服すれば、強力な登坂能力を活かしてグランツールの総合優勝も狙えそうです。

サイモン・ゲランス(オーストラリア / パンチャー)

グランツールのステージ4勝を筆頭に、本当に多くのクラシックレースで実績を残している選手です。若手が活躍するオリカにあって貴重なベテランとして的確なサポートをこなします。

マイケル・マシューズ(オーストラリア / スプリンター

25歳とかなり若いですが、グランツールで8回ステージ優勝を獲得している選手です。純粋なスプリンターという感じではなく、アップダウンも絡んだトリッキーなコース設定を得意としています。登りも苦手ではないので、パリ・ニースでのスプリント賞も2回獲得しています。

アダム・イェーツ(イギリス / オールラウンダー)

同チームのサイモン・イェーツとは双子の兄弟。2016年ツールのヤングライダー賞(新人賞)を獲得。まだ24歳とかなり若いので、今後の成長に注目のオールラウンダーです。

サイモン・イェーツ(イギリス / オールラウンダー)

同チームのアダム・イェーツとは双子の兄弟。2016ブエルタで6位入賞とステージ1勝を獲得している。アダムとほぼ同じ能力と才能を秘めているので今後も楽しみです。24歳。

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