サイクリングやロングライドに行くとどこにでもあるのが坂です。平地は速く走れるけど、上りではガクンと減速してすぐに息が上がってしまう・・。そんな人に体力を維持して長い上り坂を攻略できるペダリングと呼吸法、フォーム、ギア比とペース配分、ダンシング、簡単なトレーニング方法を紹介します。
【目次】
ヒルクライムのペダリング
ヒルクライムだからと言っても、ペダリングの基本は平地巡行と一緒です。「キレイな円運動」と「効率よくトルクをかける」事が重要です。(詳しくは楽に速く走る!知っておきたいペダリングの基本を参照)
ただ、ヒルクライムでは平地よりもペダリングの差が走りの違いにハッキリ現れます。基本のペダリングが出来ていないと、踏み込みだけに大きなトルクがかかりガクッガクッと不規則な走りになります。上りでも常にスムーズで一定な回転を心がけ、効率の良いペダリングをしましょう。
後、疲れてくるとカカトが下がりがちになるので注意です。特に下死点ではカカトが下がり気味になりますので、つま先よりも下げないようにしましょう。
楽に上る呼吸法
ヒルクライムは平地より多くの酸素を消費するので呼吸が乱れやすくなります。そこで効率よく多くの酸素を体内に取り込めるように、呼吸は大きく吸って深く吐くようにしましょう。浅く速い呼吸だと吸い込んだ酸素の一部しか体に取り込まれず効率が悪いのです。
この呼吸法は平地巡行でも効果的です。横隔膜を使って深い呼吸をできるようになると、高速巡行を長く続けられるようになります。また、横隔膜を鍛えるとより多くの酸素を取り込めるようになり効果がアップします。自転車に乗っていない日常生活でも深い呼吸を意識して腹部の筋肉や柔軟性を鍛えましょう。
参考までに浅い呼吸(300mlの呼吸を1分間に30回)と深い呼吸(600mlの呼吸を1分間に15回)を比較すると、単純計算で2250mlの差があります。わずか1分間でこの差はかなり大きいですよね。その他にも深い呼吸は体の力を抜き、自然にリラックスさせるというメリットもあるので走りに良い影響を与えます。
適正なギア比とペース配分
適正なギア比は難しいですよね。よく「軽いギアで回転数を上げた方が疲れにくい」みたいな記事を目にしますが、ギアが軽すぎるとスピードが遅くなり慣性の力が弱くなってしまいます。上りでは慣性が弱くなるとさらに多くのエネルギーが必要になるので不利です。とはいえ無理に重いギアにするとペダリングが乱れ、すぐに足が疲れてしまいます。結果、ペースダウンするという悪循環におちいってしまいますね。
結局は乗り手のパワーや持久力によってギア比は変わってきます。目安としては、理想とされる「1分間で70回転前後」を維持しながら無理なくペダルを回せるギア比が基準となるのではないでしょうか。坂の勾配に合わせて自分にあったギア比に細かく調整しながら上りを攻略しましょう。
ペース配分は序盤はスピードを落とし、後半になるにつれて上げていくのが理想です。前半からペースを上げていくよりも、後半上げていく方が良いタイムがでます。走る距離を考えて前半は走りながら会話ができるくらいのペース配分で走りましょう。
その他に、キツイ勾配ほど無理せず体力を温存し、緩い勾配でスピードを上げていくようにした方が効率が良いです。
力を抜いたフォームでまっすぐ走る
ハンドルを強く握ったり、肩や上半身、下半身に無駄な力が入っていると、酸素をより多く消費しますし効率よいペダリングができません。無駄な力を抜きリラックスしましょう。
フォームは呼吸が楽になるように上半身をおこして、前傾姿勢にならないようにするのが基本です。後はアゴをひいてカカトが下がらないようにします。上りでサドルに座る位置は、後ろ寄りの人、前よりの人といろいろな考え方がありますが極端すぎるのは逆効果です。ちなみに自分は緩い勾配は普通の位置に座り、キツイ勾配ではやや前寄りに座るようにしています。
また、力みすぎて膝が開かないようにしっかりと閉じて、体幹がぶれないように固定し、ふらつかないようにまっずぐ走りましょう。真っ直ぐ走れるようになると距離のロスが減り、左右のペダリングも安定します。真っ直ぐ走るには、道路の白線の上を走るトレーにングが効果的ですね。
攻めるダンシングと休むダンシング
ヒルクライムのダンシングには「休むダンシング」と「攻めるダンシング」の2種類があります。休むダンシングはスピードにこだわらずに体重を最大限に利用して脚の力を使いません。脚から乳酸を抜きながら呼吸を整えます。
攻めのダンシングは、引手で体を固定して膝の屈伸力でペダルを強く押しスピードを上げていくダンシングです。もちろん体重もしっかり利用します。ペースを上げたいときや、レースでアタックする時に使います。体力を消耗するのでここぞという時のみ使います。
ペダリングが上達する簡単トレーニング
平地では効率がよいペダリングができても、上りではついつい力んでしまい上手くいかない人も多いと思います。そこで、簡単なトレーニング方法なのですが、「緩い坂をゆっくり走る」だけです。
大体4~5%の勾配を時速3~4kmのローペースで走ります。もちろんシッティングのみです。この時にはギヤはしっかり落として楽にペダルを回せるようにするのも大事です。
上りを低速で走ると前に動く慣性がはたらかないのでスムーズなペダリングをしないとうまく前に進みません。平地だとちょっと踏めばサーーっと進むんですけどね。上り低速でうまくペダリングができていない場合はガクッ、ガクッという不規則な走りになってしまいロードバイクがふらつきます。
つまり、上りを低速で走るとごまかしがきかないので、ペダリングの技術がそのまま走りに反映されるのです。ギクシャクした走りになった場合は、スムーズな走りになるように改善しましょう。このトレーニングでペダリングが上達すれば、普通に走った時も改善されているはずです。
おまけ
ヒルクライムが速く楽になる一番手っ取り早い方法は「やせる事」ではないでしょうか(笑 体重が5kgも落ちれば走りは全く違ってきます。これが、なかなかできないんですけどね・・。
まとめ
- ヒルクライムのペダリングも「キレイな円運動」と「効率よくトルクをかける」事が重要。またカカトが下がらないように注意。
- 呼吸は大きく吸って深く吐くようにする。
- 「1分間で70回転前後」を維持しながら無理なくペダルを回せるギア比を維持する。
- 力を抜いて上半身をおこす。
- 攻めるダンシングと攻めるダンシングを使い分ける。
- 4~5%の勾配を時速3~4kmのローペースで走るトレーニングをする。
- やせるのが手っ取り早い・・。