2019年頃から日本でもグラベルロードという名前を聞くようになりました。今では様々なグラベルロードのイベントも行われています。そこで、グラベルロードとは?から、特徴や選び方、おすすめメーカーついてまとめました。
グラベルロードとは?
グラベルロードとは、砂利道(グラベル)と舗装道路の両方での走行を想定して造られたロードバイクの事です。アメリカを発祥とし2014年頃から北米を中心に広がりを見せ、現在では世界中でムーブメントとなっています。特に自転車レースをするわけでもなく舗装路や砂利道、林道、オフロードなど道を選ばずに走るのを楽しむ趣味のジャンルです。舗装路を高速で走れて、ロードバイクでは行けない山道もグングン入って冒険できる幅広い性能が魅力です。
ただ、「これがグラベルロードだ!」という規定はないためタイヤのサイズも700Cもあれば650Bもあり、他の自転車との境界線があいまいなのも事実です。基本がドロップハンドルなどロードバイクの姿でオフロードも走れる自転車をグラベルロードと呼びます。
まだ新しいジャンルですが、今後はさらに発展していくだろうと期待されており、グラベルイベントも北海道から九州まで日本各地で開催されています。そして、アウトドアアクティビティやキャンプと融合したイベントなども増加中なので機会があれば参加してみましょう。
シクロクロスバイクとの違い
シクロクロスバイクはオフロードでの本格的レースを想定したパーツ構成になっているのに対して、グラベルロードは舗装路とオフロードの両方をを趣味で走るパーツ構成になっているのが違います。例えば、シクロクロスはデコボコ道を乗り越えるパワー重視のギア構成となっていますが、グラベルロードは舗装路を高速で走れるスピード重視のギア構成になっています。
グラベルロードの特徴
舗装路を快適に走り、山道も乗りこなせるグラベルロードには独自の特徴があります。
基本はロードバイク
グラベルロードの見た目と性能の基本はロードバイクです。舗装路の長距離を楽に高速走行できる設計なので、ドロップハンドルを装備し変速機やギア構成もスピード重視となっています。コンポーネントはシマノからグラベル専用の「GRX(ジーアールエックス)」がリリースされており、悪路でチェーンが外れないようにクランクギアが1枚のタイプもあります。
ロードバイクより幅広でパンクに強いタイヤ
悪路でパンクをしないように幅広で耐久性の高いタイヤが装備されています。ただ、マウンテンバイクのようにゴツゴツした完全なオフロードタイヤというわけではありません。速く走れるようマウンテンバイクよりは細くて軽いタイヤとなっています。タイヤの太さの目安は「28C〜40C」です。グラベルロードの用途が山道が多いなら太目でしっかりしたタイヤ、舗装路中心で走るなら細めのタイヤを選ぶといいでしょう。
ディスクブレーキを標準装備
山道で地面が湿っていたり泥が跳ねるので、制動力が濡れても安定しているディスクブレーキが標準装備されています。ディスクブレーキは油圧式と機械式がありますが、主にブレーキングが軽く、微妙な加減がしやすい油圧式が採用されています。
グラベルロードの選び方
グラベルロードの選び方は、「フレーム素材」「コンポーネント」「タイヤの幅」「ブレーキの種類」「拡張性」となります。順番にまとめます。
フレーム素材
フレーム素材はクロモリ(鉄)、アルミ、カーボンから選びます。自分の目的に合わせて性能やデザイン、価格を考慮して選びましょう。気軽に使いたいならクロモリかアルミがおすすめ、本格的に乗りたいなら高価で高性能なカーボンがおすすめです。見た目はクロモリがクラシックな細いスタイルで、アルミはスタンダードなスタイル、カーボンはやや先進的な流線型スタイルが多いです。
クロモリ | アルミ | カーボン | |
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価格の目安 | 5万円~30万円 | 8万円~50万円 | 15万円~150万円 |
重量 | △ | 〇 | ◎ |
衝撃耐性 | ◎ | 〇 | △ |
耐久性 | ◎ | 〇 | △ |
サビ耐性 | △ | 〇 | ◎ |
振動吸収性 | 〇 | △ | ◎ |
コンポーネント
コンポーネントとは、ブレーキ、変速機、クランクなど自転者を操作する主要パーツの事です。とりあえず日本メーカーのSHIMANO(シマノ)製であれば安心です。特にグラベル用に開発された「GRX(ジーアールエックス)」は10万円以上と高価ですが楽しく乗れるでしょう。
ロードバイク用のコンポーネントの場合は、高性能な順から「デュラエース > アルテグラ > 105(イチマルゴ) > ティアグラ > ソラ > クラリス > ターニー」となります。ただ、クラシカルなクロモリ素材の自転車には海外メーカーのデザイン性も兼ねるコンポーネントが装備されている場合もあります。
タイヤの幅
ロードバイクのタイヤ幅が23~25Cと細く、グラベルロードのタイヤの目安は28C~40Cとやや太くなります。タイヤの幅は太いほど悪路に強くなりますが、走行スピードは下がります。舗装路走行が多くスピードを重視するなら30C前後のタイヤを選びます。逆に山道での走行を重視するなら40C前後のタイヤを選びましょう。
ディスクブレーキの種類
ディスクブレーキには機械式と油圧式があります。機械式はブレーキレバーとブレーキ本体をワイヤーでつなぎ、ワイヤーを引っ張ることでブレーキ本体を動かします。油圧式はブレーキレバーとブレーキ本体をパイプでつなぎ、注入した特殊オイルを押し出すことでブレーキ本体を動かします。油圧式の方が高性能ですがメンテナンスが大変で価格が高いです。特にこだわりがなければ機械式にしましょう。
オプションパーツの拡張性
グラベルロードに乗ってのキャンプや数日間の旅となるとたくさんの荷物を積む必要があります。グラベルロードを使う目的によって荷物を括り付けられるキャリアや泥除け、水筒を固定するボトルゲージなどを付けれるか確認しましょう。拡張性が高いフレームにはパーツを増やせるねじ穴が多く付いています。また、ねじ穴が少なくても取付できるキャリアが検索すると結構見つかります。
おすすめメーカー
有名で信頼できる自転車メーカーの中から、おすすめを紹介します。一覧表は各メーカーで一番安いエントリーモデルの情報をまとめています。
MERIDA / メリダ(台湾・ドイツ)
台湾を発祥としたメーカーですが、ドイツ・シュツットガルト近郊にあるラボで開発を行っています。ラボでは車体の強度テストや自転車の制作を行うワークショップ、そして世界トップレベルチームの所属プロ選手によるテスト走行を繰り返し新型車を設計しています。優れた設計ながら製造を台湾で行う事でコストを落とし、高性能な自転車を手に入れやすい価格で販売しています。
参考モデル | SILEX 100 |
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販売価格の目安 | ¥170,000~ |
フレーム素材 | アルミ |
フロントフォーク素材 | カーボン |
タイヤの幅 | 700x38C |
コンポーネント | シマノ クラリス |
ディスクブレーキ | 機械式 |
重量 | 10.5kg |
FELT / フェルト(ドイツ)
1980年代にモトクロスの世界的メカニックだったジム・フェルトが、自分が満足できるトライアスロンバイクを作るために幾度も風洞実験を重ねて立ち上げた自転車メーカーです。製作されたトライアスロンバイクに乗ってポーラ・ニュービーフレジャーは4度目のアイアンマン世界チャンピオンになりました。現在もツール・ド・フランス、世界選手権、五輪、アイアンマンで多くの勝利もたらすスポーツ自転車を作っています。
参考モデル | BROAM 60 |
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販売価格の目安 | ¥160,000~ |
フレーム素材 | アルミ |
フロントフォーク素材 | カーボン |
タイヤの幅 | 700x40c |
コンポーネント | シマノ クラリス |
ディスクブレーキ | 機械式 |
重量 | 11.3kg |
BIANCHI / ビアンキ(イタリア)
ジロ・デ・イタリアやツール・ド・フランスなど大きな国際大会で数々の栄誉に輝いてきたビアンキ。スポーツ自転車に興味がない人でも名前を知っている人は多いです。美しい空色の代表カラー「チェレステ」が特に有名で、昔からの根強いファンも多く初心者でも手を出しやすいですね。振動を抑制する技術で特許を取るなど常に進化しているトップメーカーです。
参考モデル | IMPULSO ALLROAD GRX600 |
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販売価格の目安 | ¥330,000~ |
フレーム素材 | アルミ |
フロントフォーク素材 | カーボン |
タイヤの幅 | 700x40c |
コンポーネント | シマノ GRX |
ディスクブレーキ | 油圧式 |
重量 | 10kg |
Cannondale / キャノンデール(アメリカ)
1971年にアメリカ・コネチカット州で産声を上げたキャノンデール。軽量で頑丈なフレームだけを作り、他社のパーツを組み付けて完成車とするメーカーが多い中、キャノンデールは必要と判断すれば新しいパーツをも作りだし自転車を完成させるメーカーです。また、フレームのヘッドチューブとフォークコラムを大口径化し、軽量化と高剛性化をはかる技術を1992年から採用しています。
参考モデル | Topstone4 |
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販売価格の目安 | ¥130,000~ |
フレーム素材 | アルミ |
フロントフォーク素材 | カーボン |
タイヤの幅 | 700x37c |
コンポーネント | microSHIFT |
ディスクブレーキ | 機械式 |
重量 | 10.3kg |
MARIN / マリン(アメリカ)
カリフォルニアで誕生した自転車メーカー「マリン」。比較的新しいメーカーですが、大量生産をしている工場を嫌い「最高のサービスを提供する」をコンセプトに、様々な要求を素早く提供することに重点を置いています。シャープでシンプルなデザインは非常に人気が高く、日本においても販売実績を年々増し続けメジャーブランドの仲間入りをしています。
参考モデル | NICASIO |
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販売価格の目安 | ¥110,000~ |
フレーム素材 | クロモリ |
フロントフォーク素材 | クロモリ |
タイヤの幅 | 700x30c |
コンポーネント | シマノ クラリス |
ディスクブレーキ | 機械式 |
重量 | 13.3kg |
GT / ジーティー(アメリカ)
1973年にゲーリー・ターナーが自分の子供用のBMX用自転車を制作したことに端を発するメーカーです。現在はMTBやBMXはもちろん、ロードバイクからシティサイクルまでラインナップする一大メーカーです。特にBMXを中心としたオフロードに強いメーカーとして知られています。
参考モデル | GRADE ALLOY SPORTS |
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販売価格の目安 | ¥170,000~ |
フレーム素材 | アルミ |
フロントフォーク素材 | カーボン |
タイヤの幅 | 700×37c |
コンポーネント | MicroShift |
ディスクブレーキ | 機械式 |
重量 | 10.5kg |
RITEWAY / ライトウェイ(日本)
1970年からある日本の老舗メーカーです。ロードバイクは製作しておらずクロスバイクなどのシティバイクの自転車を主に扱うメーカーですが、品質とコストパフォーマンスは非常に高いです。また、前述したメーカーの「FELT(フェルト)」や「GT(ジーティー)」やその他多数の海外メーカーから日本国内で販売する業務も請け負けおっており信頼できるメーカーです。
参考モデル | SONOMA ADVENTURE 650B |
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販売価格の目安 | ¥110,000~ |
フレーム素材 | クロモリ |
フロントフォーク素材 | クロモリ |
タイヤの幅 | 650x45B |
コンポーネント | シマノ クラリス |
ディスクブレーキ | 機械式 |
重量 | 13kg |
FUJI / フジ(日本)
100年以上前の1899年創業。日本で戦後よりロードレース自転車を開発している老舗メーカーです。1970年代に入ると海外に進出し、特にアメリカでロードレースブランドとしての地位を高めました。現在もプロスポーツチームに機材を提供し、グランツールへ挑戦しています。
参考モデル | FEATHER CX+ |
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販売価格の目安 | ¥120,000~ |
フレーム素材 | クロモリ |
フロントフォーク素材 | クロモリ |
タイヤの幅 | 700×35c |
コンポーネント | シマノ クラリス |
ディスクブレーキ | 機械式 |
重量 | 11.4kg |
まとめ
「おすすめメーカー」では最安値のエントリーバイクをそれそれ紹介しましたが、各メーカーにもっと高性能なグラベルロードはあります。予算と目的に合わせて購入しましょう。